米海兵隊(読み)べいかいへいたい/あめりかかいへいたい(英語表記)US Marine Corps

翻訳|US Marine Corps

知恵蔵 「米海兵隊」の解説

米海兵隊

沖縄米軍基地問題の焦点海兵隊だ。沖縄の米兵の56%に当たる1万2500人余が海兵隊員。海兵隊は旧日本軍の「海軍陸戦隊」に当たり、米軍では陸、海、空軍と並び4軍の1つとなっているが、海軍長官の下にあり、海軍の揚陸艦に乗り組み上陸作戦に当たる。米海兵隊は人員18万人余、戦闘・攻撃機340機の大部隊で3個師団に分かれ、カリフォルニア州に第1師団、ノースカロライナ州に第2師団、沖縄に第3師団がいる。また日本では沖縄県普天間基地と山口県岩国基地に第1海兵航空団がおり、これと第3師団が「第3海兵遠征軍」を構成する。日本全体には1万5006人(2007年6月)が駐留。海兵隊が日本防衛兵力ではないことはカールーチ元国防次官が1982年に米議会で証言しており、朝鮮半島中東などへの出動が予期されている。だが長崎県佐世保にいる米揚陸艦4隻が運ぶ第31海兵遠征隊は2000人程度。本国の揚陸艦は有事の際には第1、第2師団を乗船させて出動するため、沖縄の第3師団は輸送手段を欠いており、廃止論が米軍内部でもしばしば出た。このため第3師団は固有兵力をほとんど持たず、人員は6カ月交代で本国から派遣され、歩兵部隊は第4連隊だけだったが、その3個大隊(約2400人)は04年春までにすべてイラクへ派遣され、第3師団は戦力ほぼゼロとなった。06年5月の米軍再編に関する日米合意で第3海兵遠征軍と第3海兵師団の司令部、第3役務支援群のグアム移転が決まり、沖縄に残るのは第31海兵遠征隊と、それに航空機を提供する第36航空群(普天間駐屯)が主体となりそうだ。

(田岡俊次 軍事ジャーナリスト / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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