精選版 日本国語大辞典 「紅葉・黄葉・栬」の意味・読み・例文・類語
もみじ もみぢ【紅葉・黄葉・栬】
① (━する) 秋に、草木の葉が赤や黄に変わること。紅葉(こうよう)すること。また、その葉。《季・秋》
② 楓(かえで)、または楓の葉をいう。
③ 紋所の名。楓を図柄としたもの。丸に紅葉、杏葉紅葉など。
④ 「もみじがさね(紅葉襲)」の略。
※讚岐典侍(1108頃)下「五節のをり著たりしきなるより紅までにほひたりし紅葉どもに」
⑤ 恥ずかしさや怒りのために顔が赤くなることのたとえ。→もみじを散らす。
※浮世草子・傾城禁短気(1711)一「くはっと気をあげ、時ならぬ紅葉(モミヂ)面にあらはし」
⑥ 花札で一〇月を表わす札。紅葉に鹿の図柄の一〇点札、紅葉に短冊の五点札と、一点札二枚がある。
⑦ 料理で、秋の紅葉した木の葉の色を表わしたものにいう語。
⑧ 鹿の肉。鹿には紅葉が取り合わせであるところからいう。また、猪(いのしし)の肉をいうこともある。
※洒落本・蚊不喰呪咀曾我(1779)「さればさ、もみぢのすいものをくっているおりすけをみるようでござる」
※随筆・皇都午睡(1850)三「猪鹿の肉を〈略〉牡丹紅葉など呼ぶ事とはなりぬ」
⑨ 俗に、牛肉をいう。
※いやな感じ(1960‐63)〈高見順〉一「丸万のおごりで、久しぶりにモミジ(牛肉)にありついた」
⑪ 茄子(なすび)をいう女房詞。〔女中詞(元祿五年)(1692)〕
⑫ 茶を立てるときに、「紅葉」を音読した「こうよう」を「濃う善う」に通わせていうしゃれ。
⑬ 魚の鰭(ひれ)の部分の名。背鰭の中央あたりをいう。
⑭ 囲(かこい)女郎の異称。
※浪花聞書(頭注)(1819頃)「鹿古伊は六字とも唱ふ、もみじとも云よし」
⑮ 「もみじがさ(紅葉笠)」の略。
⑯ 「もみじぶくろ(紅葉袋)」の略。
※雑俳・川柳評万句合‐安永四(1775)仁五「彌三良もみぢをとほしとほしうり」
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