朝日日本歴史人物事典 「素木しづ」の解説
素木しづ
生年:明治28.3.26(1895)
大正前期の作家。素木岫雲,由幾の3女。札幌市出身,庁立札幌高女卒業。結核性関節炎のため右足切断後文学に志して森田草平に入門。同門に女学校級友の森田たまがいた。画家上野山清貢と結婚,一女をもうけた。その間処女作「松葉杖をつく女」ほか「三十三の死」「黄昏の家の人々」などで隻脚の傷心,夫とわが子への愛を哀切な筆致で描き好評を得た。代表作の自伝的長編「美しき牢獄」(1917)では,初出の『読売新聞』に挿絵も描いた。他の作に短篇40篇余,作品集『悲しみの日より』(1916),『青白き夢』(1918),その生涯を描いた沖藤典子『薄明の作家素木しづの生涯』(1988)などがある。
(大村沙織)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報