網・編(読み)あみ

精選版 日本国語大辞典 「網・編」の意味・読み・例文・類語

あみ【網・編】

〘名〙 (動詞「あむ(編)」の連用形の名詞化)
[一] (網)
① 糸、縄、針金などで目をあらく編んだもの。
(イ) 魚や鳥獣を捕るための糸、縄製のもの。
書紀(720)神代下・歌謡「片淵に 阿彌(アミ)張りわたし 目ろ寄しに 寄し寄り来ね」
(ロ) 魚、餠などを焼くための金網。また、防御などの目的で用いる金網。
※百座法談(1110)三月一日「一人は鉄のあみをかつぐ。あみのめよりかかるほのほ熱くたへがたし」
② 仏が衆生を救済する慈悲をたとえていう語。
※海道記(1223頃)東国は仏法の初道「三十三身の尊、大悲弘誓の網を垂て苦海の沆物をすくふ」
③ ①(イ)によって魚を捕えること。
咄本・蝶夫婦(1777)魚の寸法「おれは此中網(アミ)にいって、大きなこちをとったとおもやれ」
④ 事を行なうために張りめぐらしたもの。
(イ) 犯罪者など、ねらいをつけた人をとらえるための手段。→網を張る
※黒い眼と茶色の目(1914)〈徳富蘆花〉四「此真率な青年も次平さん同様おくら婆さんの網(アミ)にかかるに造作はなかった」
(ロ) 網の目のように、系統的、組織的に作られたもの。
※青春(1905‐06)〈小栗風葉〉秋「法律の網も潜りさうな言草」
※雑俳・柳多留‐五〇(1811)「鷹の羽を網へぶちこむ不慮な事」
⑥ 賭場。
歌舞伎お染久松色読販(1813)中幕「ふとした網に引かかり、がらら百両打込(ぶちこ)んだが、モシ、此間中五両三両積金にして、質屋の内へ預けました」
蜘蛛(くも)の巣。
⑧ 紋所の名。漁労投網(とあみ)を立てかけて干した形状を図案化したもの。
⑩ 印刷で、「あみてん(網点)」「あみはん(網版)」の略。
[二] (編) 編むこと。また、編んだものの状態。編み方。
※白い柵(1952)〈永井龍男〉「荒い編みの、ジャケツを着込んだ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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