総・綜・惣(読み)そう

精選版 日本国語大辞典 「総・綜・惣」の意味・読み・例文・類語

そう【総・綜・惣】

[1] 〘名〙
① すべてのもの。あらゆるもの。全体。→そうに(総━)
※玉葉‐治承五年(1181)二月八日「以前越中守平朝臣盛俊、宜丹波国諸庄園総下司
※源平盛衰記(14C前)三五「汝は大勢の川を渡(わたさ)ん時、総(ソウ)を力にして渡るべし」
② (惣) 南北朝以後、農民が村落共通の利益を守るために名主層から選ばれた乙名(長)・年寄を中心として結合した村落共同体。寄合をひらき、村の掟をつくり、入会地や灌漑用水の管理、村の自衛、犯罪の防止などを行ない、違反者には制裁を加えた。近世には、幕府大名による農民統制の組織へと変質した。惣村。惣中。
※菅浦文書‐貞和二年(1346)九月・近江菅浦庄惣村置文「惣のしゅんしをととめらるべく候。よんて所のおきふみの状如件」
③ 上の衣(きぬ)
※大乗院寺社雑事記‐寛正六年(1465)一二月二五日「総一帖日野借用、遣之了」
[2] (総) 上総国、下総国の略。
[3] 〘接頭〙 漢語名詞の上に付いて、すべおさめる、すべてその状態にある、また、そのすべてを含む意などを表わす。「総大将」「総収入」など。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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