締・絞・閉・搾(読み)しめる

精選版 日本国語大辞典 「締・絞・閉・搾」の意味・読み・例文・類語

し・める【締・絞・閉・搾】

〘他マ下一〙 し・む 〘他マ下二〙
① まわりから強く圧力を加える。
(イ) 紐状のものをからだや物のまわりに回してゆるまないように強く引っ張って固定させる。結ぶ。きつく縛る。
平家(13C前)九「くわがた打ったる甲(かぶと)の緒しめ」
(ロ) 腕、手、脚などを用いて、相手のからだやその一部を強くはさみつける。
※平家(13C前)一一「弟の次郎をば馬手のわきにかいばさみ、ひとしめしめて」
(ハ) ねじを回して両側から強く押し付け密着させる。
種子などを強く押しつけて油を絞り出す。
日葡辞書(1603‐04)「アブラヲ ximuru(シムル)
③ 肉や皮を利用するために家畜などを絞め殺す。
咄本・今歳咄(1773)「幸飼て置たうづら一羽、しめて、やき鳥にせふと」
④ 男女が手足をからみ合わせる。強く抱きあう。情交する。
※仮名草子・恨の介(1609‐17頃)上「まだ夜は夜中、しめて御寝(およ)れよの」
⑤ 相手の心をひきつける。
歌謡・松の葉(1703)一・琉球組「とろりとろりとしむる目の、笠のうちよりしむりや、腰が細くなり候よ」
⑥ 自分のものにする。
(イ) 取って自分のものとする。
※浮世草子・日本永代蔵(1688)三「年久敷手代根帳を〆(シメ)、銭蔵銀蔵は渡して」
(ロ) 食べる。食べてしまう。
※咄本・座笑産(1773)初もの「『きゃつ、はつものをしめたな』『ヲヲヨ。おのしたちの口へ這入る物ではない』」
⑦ 閉じる。閉ざす。
(イ) 開口部をふさぐために戸やふた、幕などを動かす。戸などを動かして窓や出入口をふさぐ。
俳諧・炭俵(1694)上「門しめてだまってねたる面白さ〈芭蕉〉 ひらふた金で表がへする〈野坡〉」
(ロ) 特に、店の戸をとざして営業をやめる。
⑧ 一段落終わらせる。くぎりをつける。締めくくる。
(イ) 話し合いの決着をつける。
※浮世草子・本朝二十不孝(1686)二「書置を証拠に此金子請とれと跡先かまはず談合しめ」
(ロ) 会計に一くぎりつけて帳尻を合わせる。総計する。
※俳諧・正徳乙未歳旦帖(1715)「日を〆て見れば年とぞ成にけり〈秋吟〉」
(ハ) 取引、交渉、工事などの結着を祝って関係者が掛け声とともに一斉に手を打つ。手打式をする。
歌舞伎・暫(1714)「『まるく納まる』『この顔見せ』『目出度一つ、しめべいか』」
⑨ だらしなくふしだらにならないようにする。
(イ) ゆるんだ気分やふんいきを緊張するようにさせる。ひきしめる。
申楽談儀(1430)序「しめつ含(くく)めつせられし、更に及がたし」
(ロ) 倹約する。節約する。きりつめる。
(ハ) きびしくとがめる。強く責めなじる。
※雑俳・柳多留‐六(1771)「ちとしめてくりゃうと親仁(おやじ)ねずに居る」
(ニ) 打ちのめす。
※歌舞伎・青砥稿花紅彩画白浪五人男)(1862)三幕「『以後の見せしめ二人とも、袋だたきにしてやらう』『いや、しめるとは面白い』」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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