日本大百科全書(ニッポニカ) 「縦横家(じゅうおうか)」の意味・わかりやすい解説
縦横家(じゅうおうか)
じゅうおうか
中国の戦国時代におこった学派、九流十家の一つ。「しょうおうか」とも読み、「従横家」とも記す。命名は、戦国後半期の二大外交政策である合縦(合従)連衡(がっしょうれんこう)の策に由来する。蘇秦(そしん)・蘇代兄弟が唱えた合縦とは、東方の六国(りっこく)が西方の秦国に対抗すべく縦(たて)(南北)に盟約する策。張儀(ちょうぎ)が主張した連衡とは、六国を秦国と横(東西)に連携させて秦に吸収しようとする策。蘇張の例に示されるように、策略で列国を連合させるなどの外交政策を説き、天下の政治の動向に通暁した遊説の士が、縦横家の実体とみなされる。班固(はんこ)の『漢書(かんじょ)』芸文志(げいもんし)に、縦横家の書12点をあげるが、いずれも現存しない。ただし、縦横家風の言辞は、『戦国策』『史記』蘇秦張儀列伝などのうちに具体的にうかがうことができる。
[伊東倫厚]
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