家庭医学館 「縦隔気腫/縦隔血腫」の解説
じゅうかくきしゅじゅうかくけっしゅ【縦隔気腫/縦隔血腫 Mediastinal Emphysema / Mediastinal Hematoma】
縦隔の内部に気体がたまった状態を縦隔気腫、血液がたまった状態を縦隔血腫といいます。どちらも胸部の外傷が原因で、気管、食道、血管などから空気や血液がもれておこります。
刃物や銃弾などが直接に縦隔を傷つける場合と、胸部を強く打撲して、皮膚は破れていないのに、縦隔内の気管や食道や血管が破れることがあります。
また縦隔気腫は、気管支ぜんそくでせきがひどかったり、怒責(どせき)(息をこらえておなかに力を入れること)をしたりするとおこることがあります。
この場合、肺胞(はいほう)が破れ、そこから出た空気が気管支のまわりを伝って縦隔にもれ出るため、目に見える破れた場所はありません。
縦隔気腫の場合は、空気が縦隔からくびにあるすき間を通って全身の皮下(ひか)に広がり、気管が圧迫されて窒息(ちっそく)することがあります。縦隔血腫の場合は、出血量が多くなり、出血性ショック(「けが(外傷/損傷)とは」の二次性ショック(出血性ショック)という重大な事態になります。
[症状]
原因となる病変が縦隔のどの場所におこっているかでちがいますが、胸痛や胸部圧迫感がおこり、ひどくなると皮下に空気がもれ出し、くびや顔が腫(は)れてきます(皮下気腫(ひかきしゅ))。皮下気腫が悪化すると、窒息することもあります。緊急事態ですからただちに治療を受けなければなりません。
[治療]
胸部X線写真や胸部CT像によって、縦隔にガス(空気)や液体(血液)がたまっているのがみられます。
空気や血液がもれた原因の治療をします。外傷による場合は、手術が必要なことが多いようです。