日本大百科全書(ニッポニカ) 「羅生門(説話)」の意味・わかりやすい解説
羅生門(説話)
らしょうもん
羅生門鬼退治の説話。源頼光(よりみつ)が藤原保昌(やすまさ)と館(やかた)で酒を酌み交わしているときに、羅生門(古くは羅城門(らじょうもん))の鬼が話題に上る。鬼の出現を否定する頼光は、そこで家来の渡辺綱(わたなべのつな)に命じて羅生門に行かせる。綱が証拠の立て札を門に置いて帰ろうとすると鬼が現れる。格闘のすえ、腕を斬(き)り落とされた鬼は空に消えてしまう。羅生門の鬼の話はさらに後日談があって、『太平記』巻23によると、綱から鬼の腕を奉られた頼光のもとに、老母に化けた鬼がそれを奪いにやってくるが、逆に鬼切の剣で殺されてしまうことになる。
この説話を扱ったものに、同名の能『羅生門』をはじめ、歌舞伎(かぶき)舞踊『戻橋(もどりばし)』『茨木(いばらき)』、長唄(ながうた)『綱館(つなやかた)』などがある。
[野村純一]
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