美郷(町)(宮崎県)(読み)みさと

日本大百科全書(ニッポニカ) 「美郷(町)(宮崎県)」の意味・わかりやすい解説

美郷(町)(宮崎県)
みさと

宮崎県中北部、東臼杵郡(ひがしうすきぐん)にある町。2006年(平成18)東臼杵郡南郷(なんごう)村、西郷(さいごう)村、北郷(きたごう)村が合併して町制施行、美郷町となった。九州山地の山々が連なり、町域の大半を山林が占める。中央部を耳(みみ)川が南西方向に流れ、北部は五十鈴(いすず)川、南部は小丸(おまる)川の上流域にあたる。耳川にそって走る国道327号と南部を横断する国道446号(一部で327号と重複)で日向市と結ばれ、南北に走る国道388号(一部で327号と重複)で延岡市と結ばれる。産業の主体は農林業で、木材生産のほか、シイタケマイタケキンカンウメの栽培、木炭の生産などが盛ん。茶、栗なども特産として知られる。

 戦乱を逃れた百済(くだら)の王族が当町一帯に移り住んだとの伝説があり、町南部の神門神社(みかどじんじゃ)は百済国「禎嘉(ていか)王」を合祀(ごうし)する。旧暦12月の師走祭りは、禎嘉王の子「福智(ふくち)王」を合祀する木城(きじょう)町の比木(ひき)神社と合同で行われ、禎嘉王と妃、王子が対面する祭りとされている(国選択無形民俗文化財)。寛文元年(1661)建立の神門神社本殿は国指定重要文化財、また社蔵の33面の銅鏡は県の有形文化財に指定される。こうした伝説を背景に「百済の里」づくりが進められ、韓国との国際交流も盛ん。また「西の正倉院」「百済の館」などの施設がある。「西の正倉院」は、禎嘉王の遺品と伝える神門神社蔵の銅鏡のうちに、正倉院御物と同文様の鏡が含まれていたことから、正倉院を同じ規模、造営材、工法で再現した展示施設。田代(たしろ)神社で7月に行われる御田祭(おんださい)と、太鼓踊を奉納しながら宮田を植えつける農耕行事「囃し田(はやしだ)」は、県指定無形民俗文化財。天体観測の環境に恵まれており、標高1000メートルの中小屋峠(なかごやとうげ)には、口径60センチメートルの反射式望遠鏡を備えた天文台「昴(すばる)ドーム」がある。面積448.84平方キロメートル、人口4826(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android