精選版 日本国語大辞典 「聖覚」の意味・読み・例文・類語
せいかく【聖覚】
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(林淳)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報
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…澄憲は比叡山で檀那流の天台教学を修め,学識と弁舌の才で知られ,大僧都,法印に叙せられたが安居院に退去し,華麗な表現の表白諷誦文(ひようびやくふじゆもん)と機知に富んだ譬喩因縁譚(ひゆいんねんたん)を中心とした説経で人々の教化にあたり名声を博した。澄憲の第3子聖覚(1167‐1235)がその風をつぎ,澄憲に劣らぬ学識と説経の巧みさをもって〈安居院の法印〉として同流の基礎を築いた。以後,隆承,憲実,憲基とその子孫が伝統をうけつぎ延暦寺門跡の院家となり,13世紀半ば(寛元年間)に興った三井寺派の定円の流の説経とならんで皇族貴庶の信仰をあつめた。…
…ことばに節(ふし)(抑揚)をつけ,洗練された美声とジェスチャー(身ぶり)をもって演技的表出をとりながら聴衆の感覚に訴える詩的・劇的な情念の説教である。仏教伝来のときから行われたと推定されるが,天台宗の澄憲(ちようけん)(?‐1203)・聖覚(しようがく)(1167‐1235)父子が樹立した安居院(あぐい)流(安居院)と寛元(1243‐47)のころ定円が創始した三井寺(みいでら)派のことが《元亨(げんこう)釈書》に見える。安居院流は浄土宗と真宗に入り,とくに真宗で節談説教が興隆した。…
…〈信を一念にむ(う)まるととりて,行をば一形にはげむべし〉というのが法然の基本思想であった。この一念・多念の争いを止め,排他的見解を融和させようとしたのが聖覚の《唯信抄》である。隆寛の《一念多念分別事》にもこの姿勢がみられる。…
※「聖覚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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