聞付(読み)きこえつく

精選版 日本国語大辞典 「聞付」の意味・読み・例文・類語

きこえ‐つ・く【聞付】

[1] 〘自カ四〙 (ことばをかける意の「いいつく(言付)」の謙譲語) 意中を申しあげて近づく。恋の気持を訴え申してかかわりをつける。
※宇津保(970‐999頃)嵯峨院「仲忠、あて宮にいかできこえつかむと思ふ心ありて」
[2] 〘他カ下二〙 (「いいつける(言付)」の謙譲語) お言いつけ申しあげる。ご依頼申しあげる。おたのみ申しあげる。
※宇津保(970‐999頃)嵯峨院「御箱どもなどの事、一つづつきこえつけ給へり」
※栄花(1028‐92頃)衣の珠「家司に召し仰せられなどするに、左大弁参り給へれば、さるべき事などきこえつけ給ふに」

きき‐つ・ける【聞付】

〘他カ下一〙 ききつ・く 〘他カ下二〙
物音音声また、噂などを耳でとらえる。また、それを聞いて、ある事柄を知る。ある事柄について聞き出す。聞きこむ。
伊勢物語(10C前)六「いみじう泣く人あるをききつけて、とどめてとりかへし給うてけり
義経記(室町中か)一「近江石山寺にこもりけるを、平家ききつけ」
② いつも聞いて、なれている。聞きなれている。〔日葡辞書(1603‐04)〕

きき‐つ・く【聞付】

[1] 〘自カ四〙 しみじみと耳を傾ける。聞き入る。
源氏(1001‐14頃)末摘花「心もえず思ひけるほどに、物の音にききついて立てるに」
[2] 〘他カ下二〙 ⇒ききつける(聞付)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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