聞通(読み)きこえかよう

精選版 日本国語大辞典 「聞通」の意味・読み・例文・類語

きこえ‐かよ・う ‥かよふ【聞通】

〘自ハ四〙 (「いいかよう(言通)」の謙譲語)
① 親しく文通し申しあげる。お手紙をさしあげる。手紙で心を通わせ申しあげる。
源氏(1001‐14頃)総角「何やかや御消息(せうそこ)のみきこえかよひて」
② 親しく言葉をかわし申しあげる。うちとけてご相談申す。仲よくご交際申しあげる。
※源氏(1001‐14頃)澪標「近隣りの御心寄せに、何事もきこえかよひて」
③ 相手の楽器にこちらの楽器を合奏させて、心を通わせ申しあげる。
※源氏(1001‐14頃)桐壺「御遊びのをりをり、琴笛のねにきこえかよひ」
[補注]③の用例は「ききかよひ」の異文もあり、解釈にもなお定説を見ない。

きき‐かよ・う ‥かよふ【聞通】

〘自ハ四〙
① 自然に伝わり聞こえてくる。耳にはいってくる。
落窪(10C後)三「三の君は、我が男取りたる人の累(るい)なれば、近うてききかよはんを」
② 互いに聞いて心が通う。
※青表紙一本源氏(1001‐14頃)桐壺「御あそびの折り折り、琴・笛の音にききかよひ、ほのかなる御声をなぐさめにて」
[補注]②は一説他動詞とし、「互いに聞いて心を通わす」の意とする。

きき‐とお・す ‥とほす【聞通】

〘他サ五(四)〙 始めから終わりまで続けて聞く。すっかり聞く。
※天草本平家(1592)四「シテ タイリャク。ヘイケモ アソコ ココ ナレドモ、ヲウカタ qiqitouoitacato(キキトヲイタカト) ゾンズル」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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