肝・胆(読み)きも

精選版 日本国語大辞典 「肝・胆」の意味・読み・例文・類語

きも【肝・胆】

〘名〙
① 内臓の主要部分。
(イ) 肝臓。
※新訳華厳経音義私記(794)「心腎肝脯〈略〉肝音干、訓岐毛」
今昔(1120頃か)四「世に並び无からむ女の肝を取て」
(ロ) 広く、内臓の総称。はらわた。五臓六腑。
万葉(8C後)一六・三八八五「吾が肉(しし)は 御膾(みなます)はやし 吾が伎毛(キモ)も 御膾はやし」
② (心のあるところの意から) 心。精神。気力。
書紀(720)推古三六年三月(岩崎本訓)「汝(いまし)は肝(キモ)(わか)し」
曾我物語(南北朝頃)一「きもまさりて、腰の刀をぬき」
③ 心のはたらき。考慮。くふう。
※紫式部日記(1010頃か)消息文「世の人は心もきももなきやうに思ひて」
④ 仲間の長。頭(かしら)
※俳諧・広原海(1703)一二「歌舞妓子の第一(キモ)が河原の左大臣
⑤ (形動) 度胸がすわっていること。また、そのさま。大胆。
※洒落本・浪花今八卦(1773)菱卦「礒さんが二八の鉢を庭へ打付てわったげな、きもな子ではあるわい」
⑥ 物事の重要な点。急所
※長短抄(1390頃)上「月よりも松の嵐に目のさめて 是風傍之句也。又月よりも嵐に目をさます事は、月の肝そばになる、無念也」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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