六訂版 家庭医学大全科 「胆管細胞がん」の解説
胆管細胞がん
たんかんさいぼうがん
Cholangiocarcinoma
(肝臓・胆嚢・膵臓の病気)
どんな病気か
日本では
肝臓のなかにある胆管を形成する細胞が、がん化したものです。胆管細胞がんは、細胞成分に比べて線維成分が多いため、外観は白く硬いなど、見かけも肝細胞がんと違っており、性質や治療法も肝細胞がんとは大きく違っています。
原因は何か
胆管細胞がんは、一部ではB型やC型慢性肝炎を基礎に発生することもありますが、多くの場合正常な肝臓に発生します。すなわち原因になるものがないことが多いのですが、
症状の現れ方
健康診断や人間ドックを受けていないと、症状は少ないので早期発見は困難です。がんが肝臓内の胆管を圧迫してこれをふさいでしまうと、
検査と診断
超音波検査やCT、MRIなど、肝細胞がんと同じ検査を行い、腫瘍の性質や広がりなどを調べます。たいていの場合、これらの画像診断により肝細胞がんと見分けがつきます。腫瘍マーカーでも肝細胞がんとは違い、CEA(がん胎児性抗原)やCA199が上昇します。
治療の方法
最も望ましいのは腫瘍を外科的に切除することです。しかし、肝細胞がんとは違い、定期的に肝臓がチェックされていることが少ないため、小型の無症状の状態で発見できるケースはまれで、切除できる患者さんはまだまだ少ない状況です。また、
胆管細胞がんが発見された時点で、閉塞性黄疸が起こってしまっている状態では、黄疸を軽くするために胆管ドレナージ(チューブを挿入して排液させる)が至急必要になります。
病気に気づいたらどうする
肝臓は痛みを感じにくいため、早期に自分で病気に気づくことはまれです。黄疸症状が出たり、肝臓内に腫瘍が発見されたりしたら、ただちに消化器専門医の診察を受けることが必要です。
池田 健次
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報