背景(読み)はいけい

精選版 日本国語大辞典 「背景」の意味・読み・例文・類語

はい‐けい【背景】

〘名〙 (background訳語)
絵画写真などで、主要題材をひきたたせる背後の光景。後景。
※囚はれたる文芸(1906)〈島村抱月〉六「ラファエル写実は〈略〉背景に於いて、遠近、布置に於いて、〈略〉歩一歩前代の穉気を脱し」
② 舞台の正面奥に描いた景色。書割(かきわり)
※三四郎(1908)〈夏目漱石〉一一「それから背景(ハイケイ)の話をする。其背景が大したもので」
③ 人や物の背後の景色。周囲の状況
虞美人草(1907)〈夏目漱石〉一五「藤尾の姿は深い背景(ハイケイ)のうちに隠れた」
④ (比喩的に用いて) ある物事に関する隠れた事情や背後の勢力。また、思想・行動の根拠となるもの。よりどころ。バック
田舎教師(1909)〈田山花袋一四「得意なる地位を知ってるだけそれだけ、その背景が悲しかった」

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デジタル大辞泉 「背景」の意味・読み・例文・類語

はい‐けい【背景】

絵画や写真などで、主要題材を引き立たせる背後の光景。後景。バック。
舞台の後方を仕切る絵。書き割り。
物事の背後にある事情。また、裏から支える勢力。「事件の政治的背景
[類語]バックバックグラウンド光景情景シーン場景全景パノラマ前景近景遠景後景借景

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「背景」の意味・わかりやすい解説

背景
はいけい
back cloth; backdrop

舞台の最後部に装置の一部として飾られる布幕または書割。普通,風景や空などが描かれており,ルネサンス期に遠近画法を取入れて額縁舞台とともに発達ホリゾント (サイクロラマ) もその1種であるが,この場合はその上に直接描かずに,照明や幻灯を用いて風景や空の効果を出す。松を描いた能の鏡板も背景には違いないが,日本では歌舞伎の発達に伴って,書割は変化に富んだものになっていった。

背景
はいけい
background

美術用語。絵画,写真などで,主題となる対象以外のものをさす。絵画の場合,特に人物画,静物画では,主題となる対象と背景の関係はきわめて重要である。主題となる対象の位置と状況を示すほか,主題を一層効果的なものにするために利用される。

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普及版 字通 「背景」の読み・字形・画数・意味

【背景】はいけい

後面にひろがる景色。

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