胎蔵界曼荼羅(読み)タイゾウカイマンダラ

デジタル大辞泉 「胎蔵界曼荼羅」の意味・読み・例文・類語

たいぞうかい‐まんだら〔タイザウカイ‐〕【胎蔵界××荼羅】

密教両界曼荼羅の一。大日経に基づいて、大日如来を主尊とし、その分身眷属けんぞく・護法諸尊四方に図式的に配したもの。中台八葉院中央に内外四重よりなるので、四重円壇ともいう。灌頂かんじょう本尊として用いる。→金剛界曼荼羅

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精選版 日本国語大辞典 「胎蔵界曼荼羅」の意味・読み・例文・類語

たいぞうかい‐まんだら タイザウ‥【胎蔵界曼荼羅】

〘名〙 両界曼荼羅の一つ。大日経に基づき仏の菩提(ぼだい)心が母の胎内にたとえられる大悲によって一切の衆生(しゅじょう)救済本覚の心性を展開することを象徴した図。上方を東として中台八葉院を中央に四重に並ぶ一二院を区分し、四一四尊を図示する。胎蔵界の曼荼羅。大悲胎蔵界曼荼羅。理曼荼羅。東曼荼羅。
※神護寺文書‐承平元年(931)一一月二七日・神護寺実録帳写「胎蔵界曼荼羅一鋪〈八副〉金銀泥絵赤紫綾裏八葉形錦縁同紐并軸桶尻等」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「胎蔵界曼荼羅」の意味・わかりやすい解説

胎蔵界曼荼羅
たいぞうかいまんだら

真言(しんごん)密教で使用する現図(げんず)曼荼羅の一種。金剛界曼荼羅に対する。通常は金堂などの内陣の東側に懸けるもの(懸(かけ)曼荼羅)をいう。また胎蔵界壇上の敷(しき)曼荼羅。サンスクリット語ではガルバコーシャ・マンダラGarbha-kośa maalaという。漢訳は大悲胎蔵生(だいひたいぞうしょう)曼荼羅、理曼荼羅、因曼荼羅、東曼荼羅。『大日経(だいにちきょう)』具縁品(ぐえんぼん)の所説の大曼荼羅を基調とし、現図は十二大院からなる。その構図は左右(南北)は三重、上下(東西)は四重からなり、上(天)を東方とする。中央は十二大院の中心である中胎八葉院を配す。ここは八葉蓮弁(れんべん)を土台とし、その上に大日如来(にょらい)(中央)ほか四仏、四菩薩(ぼさつ)を描く。計409尊を描く。

[真鍋俊照]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「胎蔵界曼荼羅」の意味・わかりやすい解説

胎蔵界曼荼羅
たいぞうかいまんだら

正しくは大悲胎蔵生曼荼羅といい両界曼荼羅の一つ。『大日経』および『大日経疏』に基づくもの。『胎蔵図像』『胎蔵旧図像』にその成立過程がうかがわれるが,空海が唐の恵果から受けた『現図胎蔵界曼荼羅』は中央に八葉の蓮華を描き,その中心に大日如来を,各蓮弁には四仏,四菩薩を配する中台八葉院と,その四周を取囲む遍智院ほかの 12院から成る。中心の大日如来のもつあらゆる宗教的な救済の機能を,段階的に配された仏,菩薩,明王,天といった,400体余にも上る多数の諸尊の姿をかりて象徴的に表わしたもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「胎蔵界曼荼羅」の意味・わかりやすい解説

胎蔵界曼荼羅 (たいぞうかいまんだら)

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「胎蔵界曼荼羅」の解説

胎蔵界曼荼羅
たいぞうかいまんだら

両界曼荼羅(りょうかいまんだら)

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世界大百科事典(旧版)内の胎蔵界曼荼羅の言及

【両界曼荼羅】より

…密教の教義を,大日如来を中心とした諸尊の配置によって図示した曼荼羅。胎蔵界曼荼羅と金剛界曼荼羅をあわせて両界曼荼羅という。両部曼荼羅とも称される。…

※「胎蔵界曼荼羅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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