胡床・胡坐(読み)あぐら

精選版 日本国語大辞典 「胡床・胡坐」の意味・読み・例文・類語

あ‐ぐら【胡床・胡坐】

〘名〙
① 古代の貴族の着座する床の高い台。あごら。
※古事記(712)下・歌謡「やすみしし 吾が大王(おほきみ)の 獣(しし)待つと 阿具良(アグラ)に坐(いま)し」
② 腰掛け。腰をおろす板に脚をつけたもの。
※十巻本和名抄(934頃)六「胡床 風俗通云霊帝好胡服京師皆作胡床〈阿久良〉」
※源氏(1001‐14頃)胡蝶御前にわたれる廊を、楽屋のさまにして、かりにあぐらどもを召したり」
材木を組んで、高い所への足がかりとしたもの。足代(あししろ)。あなない。
※竹取(9C末‐10C初)「大炊寮(おほいつかさ)の飯炊(かし)ぐ屋の棟に、つくの穴ごとに燕(つばくらめ)は巣をくひ侍る。〈略〉あぐらを結(ゆ)ひあげて、うかがはせんに」
④ (胡坐) 両足を組んですわること。また、そのさま。→あぐむ(足組)あぐらをかく
※俳諧・古今俳諧明題集(1763)春「うぐひすの寛坐(アグラ)をゆるす初音哉〈李北〉」
[語誌]アグラはア(足)+クラ(座)と解され、上代では高床の台を指した。そこに座ることはアグラヰといい、足を組んで座ることをアグム(足組)という。中古には腰掛けや材木で組んだ足場をも指すようになり、中世ではヒザクム(膝組)など類型的表現も生まれた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android