膵臓ホルモン剤(読み)すいぞうほるもんざい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「膵臓ホルモン剤」の意味・わかりやすい解説

膵臓ホルモン剤
すいぞうほるもんざい

膵臓ホルモン製剤にしたもの。膵臓ホルモンには、膵臓のランゲルハンス島のB細胞から分泌されるインスリンと、A細胞から分泌されるグルカゴンがある。インスリンは血糖降下作用をもち、グルカゴンは血糖上昇作用をもっている。インスリンは糖尿病治療剤としてなくてはならないものである。ブタおよびウシの膵臓から抽出されたものが製剤化され、不純物のきわめて少ない単一組成のものも市販されるようになった。また、遺伝子工学の技術およびブタインスリンより酵素化学的方法を用いてヒトインスリンが開発され、安全性の高い製剤として使われるようになった。グルカゴンは診断用薬として、成長ホルモン分泌機能検査、インスリノーマの診断、肝グリコーゲン検査、低血糖時の救急処置消化管X線および内視鏡検査の前処置に注射剤として使用される。

[幸保文治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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