臍・蔕・枘(読み)ほぞ

精選版 日本国語大辞典 「臍・蔕・枘」の意味・読み・例文・類語

ほぞ【臍・蔕・枘】

〘名〙 (古くは「ほそ」)
① 腹の中央にある臍緒(ほぞのお)のとれたあと。へそ
書紀(720)神代上(兼方本訓)「即ち、軻遇突智、埴山姫を娶(ま)いて、稚産霊(わかむすひ)を生む。此の神の頭(かしら)の上(うへ)に蚕(かひこ)と桑(くは)と生(な)れり。臍(ホソ)の中(なか)に五(いつくさ)の穀(たなつもの)(な)れり」
石臼下段の石の中央部に突出している、上段の石の回転軸となる部分。
※雑俳・楊梅(1702)「ちょっほりと乳豆に似たる臼の臍」
③ 船をこぐ櫓についている突起物。船体についている穴に入れ合わせ、こぐときの回転軸とするもの。
※春泥(1928)〈久保田万太郎〉三羽烏「へんにどッか箍のゆるんで来たやうな、ホゾの外れて来たやうなかたち」
④ (蔕) 果実のへた。〔十巻本和名抄(934頃)〕
⑤ (枘) 木材などを接合するとき、一方の先端を細くしてつくった突出部。他方の材に枘穴(ほぞあな)をあけて、これにこの突出部を差し入れて接合する。
日葡辞書(1603‐04)「ハシラノ fozo(ホゾ)
⑥ 心に考えた計画。計略。はかりごと。
浄瑠璃那須与市西海硯(1734)二「まあお前の思案の臍(ホゾ)、くひ違ふて私が悦び」
決心本心。心の中。
※浄瑠璃・伊豆院宣源氏鏡(1741)三「父の心底を疑ひ、臍(ホゾ)をさぐり見ん為に」
⑧ 大工用語で昼食。めし。
⑨ 男性性器の異称男根
塵袋(1264‐88頃)六「へそをほそと云へども陰をもほそと云ふ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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