精選版 日本国語大辞典 「臣・奴・僕・官奴」の意味・読み・例文・類語
や‐つ‐こ【臣・奴・僕・官奴】
[1] 〘名〙 (「家つ子」の意)
① 人に使われる身分の低い者。奴婢(ぬひ)。
(ロ) (「やつご」とも) 身分の低い召し使い。奴僕。
※天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事「カノ ノウニンニ ワガ yatçuconi(ヤツコニ) トエト イワルレバ」
※仮名草子・悔草(1647)中「恩なき主君のくせとして、声たかにいかりつかひて、やつごの飢をもしらず」
③ (「やつご」とも) 人などをののしっていう語。また、親しさをこめたり、ふざけた気持で故意に用いたりすることも多い。やつ。
※書紀(720)雄略一三年九月(前田本訓)「天皇因て嘖譲(せ)めて曰く、何処(いつこ)にありし奴(ヤツコ)そ」
④ ある事に執着して身心の自由を奪われることをたとえていう。
※万葉(8C後)一二・二九〇七「大夫(ますらを)の聰き心も今は無し恋の奴(やつこ)に吾れは死ぬべし」
⑤ (官奴) 「やつこ(官奴)のつかさ」の略。
[2] 〘代名〙 自称。自分をへりくだっていう。男女ともに用いる。やつがれ。
※書紀(720)雄略即位前(前田本訓)「疋夫(いやしきひと)の志も、奪ふ可きこと難しといへるは、方に臣(ヤツコ)に属(あた)れり」
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