自から(読み)おのずから

精選版 日本国語大辞典 「自から」の意味・読み・例文・類語

おの‐ず‐から ‥づ‥【自から】

[1] 〘副〙 (「己(おの)つから」の意)
物事がもとからあったそのままに。また、物事が行なわれていくうちにひとりでに。自然に。おのずと。
古事記(712)上「是の後に生(あ)れし五柱の男子(をのこご)は、物実(ものざね)我が物に因(よ)りて成れり。故(かれ)、自(おのづか)ら吾が子ぞ」
② たまたま。偶然に。まれに。
※枕(10C終)八「わざと消息し、呼び出づべきことにはあらぬや。おのづから端つ方、局などに居たらん時も言へかし」
③ (仮定推測語句につけて) もしかして。万一。ひょっとしたら。
山家集(12C後)下「をのづからあり経ばとこそ思ひつれ憑(たのみ)なくなる我命かな」
④ 自分自身で。みずから
※嵯峨本方丈記(1212)「もしすべきことあれば、すなはちをのづから身をつかふ」
[2] 〘形動〙 そのままであるさま。ひとりでに行なわれるさま。もとからあった。自然な。
※奉教人の死(1918)〈芥川龍之介〉一「今は焼(や)けただれた面輪(おもわ)にも、自らなやさしさは、隠れようすべもあるまじい」
[補注](1)語尾の「ずから(づから)」は「み(身)づから」「手づから」などと共通で、連体格を示す「つ」と体言「から」。
(2)「から」は柄・族で「本質的なありさま」「自然の(血の)つながり」と説明され、「おのずから」は「それ自身の本質によって」の意になる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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