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自炊データ じすいでーた

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知恵蔵の解説

自炊データ

紙の書籍や雑誌を、電子デバイスで読めるような形式に自分で変換することを「自炊」と、その作成されたデータを「自炊データ」と言う。
iPhoneKindleの登場で電子書籍リーダーは注目をあびている一方、市販の電子書籍コンテンツとなると、英語のコンテンツがほとんどで、日本語への対応は未成熟だ。そのため、電子書籍リーダーユーザーの中には自ら所持している紙媒体のデータを電子化して、電子書籍リーダーで読むという行為が流行し始めている。自分で材料(書籍や雑誌の紙媒体)を用意し、電子書籍リーダーで読める形式の完成形までを、自らで「料理」することから、「自炊」と呼ばれるようになった。
電子書籍リーダーで読める形式というと、通常はEPUBなどの高機能なデータ形式が主体だが、自炊データに関してはPDF形式が主流になっている。PDF形式は電子ブックに特化したEPUBと比べると使いにくい部分もあることは否めないが、長年熟成されてきたシンプルな形式であるため、周辺ツールも充実しており、画像ファイルをまとめるのに手間がかからないためだ。
紙媒体の「自炊」は、まず本の分解から始まる。中閉じの週刊誌や、背表紙が接着剤で固められている書籍は、そのままではスキャンしにくいので、裁断機で背表紙部分を取り除く。分解された書籍は1枚ごとにスキャナに通すことも可能だが、手間が煩雑なため、数十枚の原稿の表裏を、自動的にスキャンし、パソコン上に画像ファイルとして保存できるドキュメントスキャナーが使用されることが多い。最後に画像データをPDF化して複数のページを1つのデータにまとめ上げて、自炊データが完成する。自炊データを作成するのが面倒な場合には、自炊代行業者も存在している。
近年になって自炊が流行したのにはいくつかの理由がある。電子書籍リーダーの普及も一因だが、住宅事情によるところも大きい。書籍やパンフレットなどは紙のままで保存するにはそれなりのスペースが必要だが、電子化がこの問題を解決する。また持ち歩くには限界のある紙媒体でも、電子化することによって質量ゼロというメリットもある。自炊データを用意することによって、パソコン、iPad携帯電話やスマートフォンといった様々なデバイスでの閲覧が可能になることも「自炊」を後押ししている。クラウド上に保存しておけば、手元にデータを置いておくことすら不要だ。
自炊データの種類は小説から雑誌やカタログまで幅広いが、電子ブックリーダーと相性の良い、コミックスはもっとも人気のある自炊素材だ。コミックスファンには、衆人の中でも人目を気にすることなく読書できるという利点もある。
個人購入した雑誌や書籍を自炊データとして利用することは、著作権的には認められている。しかし、裁断した書籍のすべてを人に譲ったり、販売したりした場合には、作成した自炊データも消去しなければならない。つまり、合法的に自炊データを利用するには、紙媒体の一部分は、保存しておくことが必要だと考えられている。

(佐橋慶信  ライター / 2010年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
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