臭化銀(読み)しゅうかぎん(英語表記)silver bromide

翻訳|silver bromide

精選版 日本国語大辞典 「臭化銀」の意味・読み・例文・類語

しゅうか‐ぎん シウクヮ‥【臭化銀】

〘名〙 銀の臭化物化学式 AgBr 等軸晶系の淡黄色粉末天然にはブロミライトとして存在。光によって分解し、銀を遊離して暗色から黒色となる。光、電子線放射線などの作用により潜像をつくる。写真感光材料として広く用いられる。

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デジタル大辞泉 「臭化銀」の意味・読み・例文・類語

しゅうか‐ぎん〔シウクワ‐〕【臭化銀】

硝酸銀水溶液に臭化アルカリの水溶液を加えてできる淡黄色の粉末。水に溶けず、チオ硫酸ナトリウム水溶液に溶ける。光に当たると銀を遊離して黒色になる。写真用感光材料に用いる。化学式AgBr

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改訂新版 世界大百科事典 「臭化銀」の意味・わかりやすい解説

臭化銀 (しゅうかぎん)
silver bromide

化学式AgBr。淡黄色固体。水溶液中で硝酸銀AgNO3臭化カリウムKBrとの反応で微細粉末として沈殿する。光にあてると分解して銀を遊離し,黒色となる。天然に臭銀鉱としてメキシコに産する。融点430℃,沸点1533℃,比重6.47,塩化ナトリウム型結晶構造をもつ。水に対する溶解度1.35×10⁻4g/l(25℃),溶解度積5.2×10⁻13mol/l2(25℃)。熱濃縮酸に溶けるが,多くの酸には不溶。アルコールに溶けない。濃アンモニア水にいくらか溶ける。チオ硫酸ナトリウムやシアン化カリウム溶液には溶ける。銀のハロゲン化物中で最も光に敏感で,そのため感光材料(フィルム印画紙乾板)に広く利用されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「臭化銀」の意味・わかりやすい解説

臭化銀
しゅうかぎん
silver bromide

銀と臭素の化合物。硝酸銀水溶液に臭化アルカリ水溶液を加えると沈殿する。淡黄色固体。強い感光性があり、光に当たると銀を遊離して黒色となる。シアン化アルカリ、チオ硫酸ナトリウム水溶液には錯塩をつくって溶ける。アンモニア水にはわずかに溶け、エタノールエチルアルコール)には不溶。熱濃硝酸には溶けるが、その溶液からは、複塩AgNO3・AgBr(融点182℃)が得られる。ハロゲン化銀中、感光性は最大で、光、電子線、各種放射線によって潜像を形成し、現像液によって現像される。このため写真感光材料の感光主体として広く用いられ、写真フィルム、乾板、印画紙中に含まれている。ただし臭化銀の感光する可視光の長波長端は500ナノメートル付近にあるので、黄色光や赤色光には感光しない。そのため通常の感光材料では増感色素を加えている。

[中原勝儼]

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化学辞典 第2版 「臭化銀」の解説

臭化銀
シュウカギン
silver bromide

AgBr(187.77).硝酸銀水溶液に十分量の臭化水素酸または臭化アルカリ水溶液を加え,生じた沈殿を濾過し,よく水洗して遮光下で乾燥すると得られる.淡黄色の粉末.岩塩型構造.密度6.47 g cm-3.融点432 ℃.水に対する溶解度は0.725×10-6 mol L-1(25 ℃).シアン化アルカリおよびチオ硫酸ナトリウム水溶液に錯塩を生成して溶ける.写真の感光剤として写真フィルムや印画紙,乾板などに用いられる.[CAS 7785-23-1]

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百科事典マイペディア 「臭化銀」の意味・わかりやすい解説

臭化銀【しゅうかぎん】

化学式はAgBr。比重6.47,融点430℃。淡黄色の結晶。水にほとんど不溶,アンモニア水,チオ硫酸ナトリウム水溶液に可溶。光に当たると分解して銀を遊離して暗色になる。重要な感光材料で写真用に用途が広い。硝酸銀水溶液に臭化カリウムを加えてつくる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「臭化銀」の意味・わかりやすい解説

臭化銀
しゅうかぎん
silver bromide

化学式 AgBr。淡黄色粉末。光に当てると黒化する。比重 6.47,融点 432℃,1300℃以上で分解。水,アルコール,多くの酸に不溶,濃アンモニアにはかなり溶解する。写真感光剤として多量に使用されている。

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