色川武大(いろかわたけひろ)(読み)いろかわたけひろ

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

色川武大(いろかわたけひろ)
いろかわたけひろ
(1929―1989)

小説家。東京都生まれ。東京府立第三中学校を中退戦後放浪無頼の生活を送った後、雑誌編集者などを経て文筆生活に入る。1961年(昭和36)退役軍人の父と息子との葛藤(かっとう)を描いた自伝的な小説『黒い布』で中央公論新人賞を受賞。1977年『怪しい来客簿』で泉鏡花賞、1978年『離婚』で直木賞を受賞した。1982年父子関係を描いた短編『百』で川端康成(かわばたやすなり)賞、1988年『狂人日記』で読売文学賞を受賞。その間一時期、阿佐田哲也ペンネームで『麻雀放浪記(マージャンほうろうき)』など多くの麻雀小説を手がけた。私小説を中心とした純文学と娯楽小説を書き分け、戦後無頼派の生き残りという特異な存在であった。1989年4月10日没。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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