艾・蓬(読み)よもぎ

精選版 日本国語大辞典 「艾・蓬」の意味・読み・例文・類語

よもぎ【艾・蓬】

〘名〙
① キク科の多年草。本州、四国、九州の山野に普通に生える。高さ〇・五~一メートル。全体に芳香があり、よく分枝する。葉は羽状に裂け、裂片は披針形、裏面に白い綿毛を密生する。秋、黄褐色の小さな頭状花を円錐状に多数つける。新苗をつんで餠に入れ、また葉裏の綿毛で灸療治用の「もぐさ」を製する。よもぎの仲間は、カワラヨモギタカネヨモギ、クソニンジン、オトコヨモギイヌヨモギなど日本に三〇種ほどあり、海岸から高山にまで広く分布する。漢名、艾。もぐさ。もちぐさ。さしもぐさ。つくろいぐさ。《季・春》
万葉(8C後)一八・四一一六「あやめ草 余母疑(ヨモギ)かづらき 酒宴(さかみづき) 遊びなぐれど」
② 襲(かさね)の色目の名。表は萌葱(もえぎ)、裏は濃い萌葱、あるいは表は白、裏は青。五月に用いる。
※栄花(1028‐92頃)根合「ことさらに昌蒲の衣を皆打ちて、撫子織物の表著、よもぎの唐衣、楝の裳なり」
③ 香木の名。〔新札往来(1367)〕

えもぎ【艾・蓬】

〘名〙 =よもぎ(艾)
御伽草子あきみち(室町末)「ゑもぎ、むぐらは軒をあらそひて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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