芋・薯・藷(読み)いも

精選版 日本国語大辞典 「芋・薯・藷」の意味・読み・例文・類語

いも【芋・薯・藷】

〘名〙
植物の根または地下器官養分を蓄えて肥大発達したものの総称。とくに、食用となる、サトイモヤマノイモサツマイモなどの通称。うも。
書紀(720)武烈三年一〇月(図書寮本訓)「人の指の甲(つめ)を解(ぬ)きて、暑預(イモ)を掘(ほ)らしむ」
② 特に、サトイモの称。《季・秋》
▼いもの花《季・夏》
※俳諧・犬子集(1633)九「有明の月にもたらぬ子を生て〈慶友〉 出ぬる芋の数もすくなき〈同〉」
③ 田舎者、野暮な人をばかにしていう語。また、無器用な人、センスのない人、無知な人をののしっていう語。接頭語的にも用いる。いもすけ。
※雑俳・柳多留‐三(1768)「をばすてをしなのに聞けばいもで居る」
④ 無学な僧をののしっていう「芋掘り坊主」をさす浄瑠璃社会の隠語
※洒落本・芳深交話(1780)「『久しぶりでめづらしい蛸がとれたのう、長八どん』『とれるはづさ芋(イモ)さかりだ』」
※滑稽本・八笑人(1820‐49)五「持めへのゑて〈注・酒の事〉は〈略〉親父橋がいもで又一よ」
⑥ 「いもでんがく(芋田楽)②」の略。
※雑俳・柳多留‐三〇(1804)「芋の親娵(よめ)にはゑごくあたるなり」
[語誌]植物の種類によって、その器官は塊根(サツマイモなど)、塊茎ジャガイモなど)、球茎(サトイモなど)、担根体(ヤマノイモなど)と呼ばれる。食用としては、ヤマノイモ、サトイモ、サツマイモ、ジャガイモなどの総称。古くは、自生のヤマノイモや南方原産のサトイモが利用され、芋といえば特にサトイモをさすことが多かった。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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