デジタル大辞泉 「芥子」の意味・読み・例文・類語
け‐し【×芥子/罌=粟】
2 カラシナの種子。香辛料として利用。また仏寺で
[類語]雛芥子・虞美人草・ポピー
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
カラシナの種子,また,それを粉末にした香辛料。和がらし,ジャパニーズマスタードなどと呼ばれるが,マスタード(洋がらし)とは植物学上別種である。奈良時代すでにからし粉が用いられていたことは,《正倉院文書》中に臼でついた意の〈舂芥子〉の語があることで明らかである。《延喜式》には甲斐,信濃,上総,下総から中男作物などとして貢納され,調理面では現在よりもはばひろく利用されていたように思われる。酢やみそに加えてなますやあえ物に使ったことがはっきりするのは室町時代のことになるが,食生活の洋風化が急激に進んだ第2次大戦後まで,日本人にとってはきわめて重要な香辛料であった。江戸時代にはカツオの刺身はからしで食べるものとされた時期があったようで,1714年(正徳4)の江島事件で三宅島へ流された俳優生島(いくしま)新五郎が江戸の2世市川団十郎にあてて〈初松魚(はつがつお)からしがなくて涙かな〉と書き送った話が伝えられている。
和がらしの辛みは,配糖体シニグリンが酵素ミロシナーゼの作用で加水分解されて生ずるアリルイソチオシアネートによるもので,酵素は40℃で最も活性化するため,水でなく温湯で溶くほうがよい。独特の香味が日本料理で珍重されるが,洋がらしと違ってえぐみがあるので,溶いたからしの上に湿った和紙を密着させて湯をそそぎ,その中へ真っ赤におきた炭火を投入,ふたをしてあくぬきをする。この操作がめんどうなので,近年ではその必要のない洋がらしがひろく使われるようになっている。
執筆者:豊国 やなぎ+鈴木 晋一
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出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
…耐寒性も比較的強いので,主に秋まきして晩秋または越冬後早春に収穫する。種子を生薬では芥子(がいし)という。配糖体シニグリンsinigrin(ミロン酸カリウム)を含み,加水分解によりイソチオシアン酸アリルallyl isothiocyanateを生じ,これが皮膚や粘膜を刺激する。…
※「芥子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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