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花・華・纏頭 はな

大辞林 第三版の解説

はな【花・華・纏頭】

種子植物の生殖器官。一定の時期に枝や茎の先端などに形成され、受精して実を結ぶ機能を有するもの。有性生殖を行うために葉と茎が分化したもので、花葉と花軸からなる。花葉は普通、萼がく・花冠(花弁の集合)・おしべ・めしべに分化して、花の主体を形成する。形態上の特徴は分類上の指標となる。 「 -が咲く」 「 -が散る」
特定の花をさす。
春の花を代表する桜の花をさす。 [季] 春。 「 -に浮かれる」 「願はくは-のしたにて春死なむ/山家 」 〔中古後期頃に一般化した用法。現代語では「花見」「花ぐもり」など他の語との複合した形でみられる〕
古くは、百花にさきがけて咲くところから、梅の花をさした。 「今のごと心を常に思へらばまづ咲く-の地つちに落ちめやも/万葉集 1653」 「春や疾き-や遅きと聞き分かむ鶯だにも鳴かずもあるかな/古今 春上
神仏に供える花や枝葉。 「手向けの-」
生け花。花道かどう。また、生け花にする材料。 「お-の稽古」 「 -を生ける」
(特に桜を対象として)
花が咲くこと。 「 -便り」 「向つ峰の若桂の木下枝しずえ取り-待つい間に嘆きつるかも/万葉集 1359
古くは、花を見て賞すること。花見。 「尋ね来て-にくらせる木の間より待つとしもなき山の端の月/新古今 春上
(しばしば鳥・雪・月などと対比されつつ)自然美の代表として草木に咲く花を総称していう。 「蝶よ-よと育てる」
色や形の類似から、花になぞらえていう。
(主としてその白さによって)雪・霜・白波・月光・灯火などを花に見たてていう語。 「雪の-」 「波の-」 「硫黄いおうの-」
麴黴こうじかび。麴花。また、麴のこと。
花にちなんだ事物。
造花。飾り花。また、散華さんげに用いる紙製の蓮はすの花びら。
〔もと露草の花のしぼり汁を原料としたところから〕
青白色。また、藍あい染めの淡い藍色。縹はなだ色。はないろ。 「御直衣の裏の-なりければ/大鏡 伊尹
薄い藍色の顔料。 「頭には-を塗り/栄花 本の雫
芸人などに与える金品。また、芸娼妓や幇間ほうかんの揚げ代。花代。 〔「纏頭」とも書く。花の枝に贈り物を付けたところから〕
芸娼妓や幇間の花代を計算するために用いる線香。また、それで計る時間。 「 -を恨み、鶏を惜にくみ/洒落本・南遊記」
花札。花ガルタ。また、それを用いた遊び。花合わせ。 「 -を引く」
花の美しさ・はなやかさにたとえていう。
はなやかで人目をひくもの。多く女性についていう。 「社交界の-」 「職場の-」 「両手に-」
美しく貴く思うもの。また、はなやかで興趣に富むもの。 「高嶺たかねの-」 「この世の-」
(「花の…」の形で、連体修飾語として)はなやかで美しいものである意を表す。 「 -の都」 「 -の顔かんばせ
(多く「…が花だ」の形で、述部として用い)最もよいこと。最もよい時期。 「知らぬが-だ」 「若いうちが-だ」
はなやかで、そのものの特色を表しているもの。 「火事と喧嘩けんかは江戸の-」 「古代美の-」
若い男女。 「箱入の-もの云はぬ病が出/柳多留 42
美しい女。また、遊女。 「 -に遊ばば祇園あたりの色揃へ/浄瑠璃・忠臣蔵」
世阿弥の能楽論の用語。観客の感動を呼び起こす芸の魅力、おもしろさ、珍しさ。また、それを追求・工夫し、感得する心の働き。
花の移ろいやすく、はかなく散るさま、また見かけだけであだなさまにたとえていう。
外観。うわべ。実質を伴わないはなやかさ。 「 -多ければ実少なし」
人の心や風俗などの変わりやすいこと。 「色みえで移ろふものは世の中の人の心の-にぞありける/古今 恋五
人の心などが、うわべばかりで誠実さのないこと。 「今の世の中色につき、人の心-になりけるにより、あだなる歌はかなきことのみ出でくれば/古今 仮名序
「花籤はなくじ」の略。 「ほんに当る因果なら、-ばかりでおけばいいに/黄表紙・金生木」
文芸論の用語。和歌・連歌・俳諧などで、意味内容を実にたとえるのに対し、表現技巧をいう。 「古の歌はみな実を存して-を忘れ、近代のうたは-をのみ心にかけて、実には目もかけぬから/毎月抄」
歌曲名(別項参照)。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

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