20世紀日本人名事典 「花井 お梅」の解説
花井 お梅
ハナイ オウメ
明治期の芸者
- 生年
- 元治1年(1864年)
- 没年
- 大正5(1916)年12月14日
- 出生地
- 下総国佐倉(千葉県佐倉市)
- 本名
- 花井 ムメ
- 別名
- 前名=宇田川屋 秀吉
- 経歴
- 東京新橋の売れっ子芸妓となり、4代目沢村源之助とも浮名を流すが、明治20年銀行頭取を旦那に日本橋浜町に待合・酔月楼を開き、箱屋峯吉こと八杉峯三郎を番頭として雇った。同年6月9日店の経営や気ままな素行をめぐって実父と争い、それに絡んだ峯吉を刺殺。同年無期徒刑の宣告を受ける。この“箱屋峯吉殺し事件”は世間に喧伝され、小説、歌謡、演劇にとりあげられた。36年特赦による出獄後、峯吉殺しを自演する旅役者となる。21年河竹黙阿弥が「月梅薫朧夜」として歌舞伎に脚色、また新派でも種々の脚本が書かれ、伊原青々園の小説「仮名屋小梅」などの他、昭和10年川口松太郎の「明治一代女」が新派の当り狂言となった。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報