草庵集(読み)ソウアンシュウ

デジタル大辞泉 「草庵集」の意味・読み・例文・類語

そうあんしゅう〔サウアンシフ〕【草庵集】

室町前期の私家集正編10巻、続編5巻。頓阿とんあ作。正編は正平14=延文4年(1359)、続編は正平21=貞治5年(1366)ごろに成立二条派歌人に尊ばれた。収録歌数二千余首。草庵和歌集

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改訂新版 世界大百科事典 「草庵集」の意味・わかりやすい解説

草庵集 (そうあんしゅう)

南北朝時代頓阿の家集。10巻,約1440首。頓阿が1359年(延文4)に,1311年以後の作品から自撰したものとされる。歌風温雅平明で,集中に多くの歌人が登場し,二条派の重鎮らしさをうかがいうる。後世,二条派歌風の典型と仰がれて流布し,刊行されたり(承応2年(1653)版ほか),《草庵和歌集類題》などが編まれて入門書としても親しまれた。頓阿の家集には,ほかに《続草庵集》《頓阿法師詠》が知られる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「草庵集」の意味・わかりやすい解説

草庵集
そうあんしゅう

鎌倉末、南北朝時代の歌僧頓阿(とんあ)の家集。正編10巻、続編五巻。正編は四季、恋、雑(ぞう)、羇旅(きりょ)、哀傷、釈教、神祇(じんぎ)、賀の部立(ぶだて)よりなり、約1400余首を収録。1359年(正平14・延文4)ごろの成立とされる。続編は四季、恋、雑それに雑体と連歌(れんが)の組織で、560首、連歌100句を収録。この歌集の歌は、二条派の伝統である温雅な歌風を具備している。ために、室町時代、江戸時代を通して、二条派の歌風の典型として堂上派歌人たちに尊重され、『草庵集蒙求諺解(もうぎゅうげんかい)』(香川宣阿(せんあ))、『草庵集玉箒(たまははき)』(本居宣長(もとおりのりなが))などはじめ、多数の注釈書が刊行されている。

[稲田利徳]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「草庵集」の意味・わかりやすい解説

草庵集
そうあんしゅう

南北朝時代の僧頓阿の私家集。正編 10巻,続編5巻。約 2000首。正平 14=延文4 (1359) 年頃成立。歌風は平明温和で,古典的傾向が著しく,二条派の典型とされる。室町~江戸時代を通じて尊重され,本居宣長はその注釈書『草庵集玉箒』 (1786) を著わした。句空編『俳諧草庵集』 (1700) と区別して『草庵和歌集』ともいわれる。

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