荒船山(読み)あらふねやま

精選版 日本国語大辞典 「荒船山」の意味・読み・例文・類語

あらふね‐やま【荒船山】

群馬・長野県境にある楯状火山。一四二三メートル。長野県佐久地方では砥山(とやま)という。

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デジタル大辞泉 「荒船山」の意味・読み・例文・類語

あらふね‐やま【荒船山】

群馬県南西部、長野県との境にある火山。標高1423メートル。山頂は溶岩台地で、荒船山神社がある。あらふねさん。

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日本歴史地名大系 「荒船山」の解説

荒船山
あらふねやま

甘楽郡の西端、長野県との県境にあり、下仁田しもにた町・南牧なんもく村と長野県佐久さく市にまたがる。山頂が平坦で北端が絶壁をなす山容は、東方からみると荒海を行く船の形に擬せられ、山名もちなむという。最高峰行塚ぎようづか(あるいは京塚)とよばれ、標高一四二二・五メートル。「神道集」には笹岡ささおか山、また摶風はふう(前上野志)(名跡考)ともよばれていた。

荒船山
あらふねやま

内山村の東部、信濃国と上野国の境にある山。標高一四二三メートル。その名のとおり、山容は巨船を南北に横たえたように、頂上南には剣が峰けんがみね(京塚・行塚ぎようづかともいう)が高くそびえ、北は艫岩ともいわといわれる断崖絶壁である。

荒船山の火山活動は、信州溶岩といわれる溶結凝灰岩の広地域にわたる噴火に始まり、その後に荒船カルデラ湖ができ、荒船溶岩(荒船玄武岩質安山岩)が溢流して、その一部が信州溶岩を覆ったといわれている。

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改訂新版 世界大百科事典 「荒船山」の意味・わかりやすい解説

荒船山 (あらふねやま)

群馬県南西部,長野県との県境にある山で,船の形に似た特異な山形は高崎線の車窓からも望める。台状で平たんな山稜は東西幅0.3km,南北の長さ1.5kmあり,比高200mの崖に囲まれ,その北半は艫(とも)岩と呼ばれる。標高はほぼ1340m,最高点は南端の京塚山(1423m)である。付近には兜岩山(1368m),熊倉峰(1234m),立岩(1266m),毛無岩(1281m)が突起するが,いずれも荒船山と同じ玄武岩安山岩と下層の溶結凝灰岩からなり,基盤の第三紀中新統の上に載っている。もともと一続きの溶岩台地が浸食されて生じた旧期の火山体とみられ,荒船山はメサ,他の山峰はビュートである。西の中腹,館ヶ沢の奥には荒船不動尊,南の山腹には威怒牟幾(いぬむき)不動が祭られ,古くから山全体が信仰登山の対象となってきた。この山のすぐ北の鞍部の内山峠は近世には佐久と下仁田を結ぶ要路であったし,今もここを国道がトンネルで通ずる。内山峠および南の鞍部の星尾峠から登山路が付けられており,北4kmの所には神津(こうづ)牧場のある物見山があって付近一帯は手ごろなハイキング地であり,妙義荒船佐久高原国定公園の一部をなす。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「荒船山」の意味・わかりやすい解説

荒船山
あらふねやま

群馬県南西部、長野県境に接する火山。標高1423メートル。第三紀層の上に、安山岩や凝灰岩があり、山頂は南北約1400メートル、東西約400メートルの平坦(へいたん)な玄武岩の溶岩台地で、台地の北端は約170メートルの絶壁になっている。この台地上に荒船山神社がある。形がひときわ目だち、荒海を行く船の形にみえるのでこの名がついたという。長野県では砥石(といし)に例えて砥山(とやま)という。妙義(みょうぎ)荒船佐久高原国定公園に属し、高崎から上信電鉄下仁田(しもにた)駅下車、バスと徒歩による好適のハイキングコース。北方に神津(こうづ)牧場がある。

[村木定雄]

『佐川栄次郎著『荒船火山地質調査報文』(1898・震災予防調査会)』

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百科事典マイペディア 「荒船山」の意味・わかりやすい解説

荒船山【あらふねやま】

群馬・長野県境にそびえる火山。標高1423m。中新世および更新世堆積岩,火山砕屑(さいせつ)岩を基盤とした安山岩からなる。山体は巨大な溶岩台地状を呈し,北端は約170mの絶壁をなす。中世より歌名所としても知られる。北方に神津(こうづ)牧場がある。妙義荒船佐久高原国定公園に属する。
→関連項目下仁田[町]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「荒船山」の意味・わかりやすい解説

荒船山
あらふねやま

群馬県長野県の境にある火山。標高 1423m。群馬県側から見ると平らな山頂部とそれを取り巻く壮大な絶壁が,荒海を行く船のようで,山名の由来とされる。山頂の平坦部は,玄武岩の溶岩台地で浸食から免れた地域である。基盤は新第三紀層で,その上に更新世の凝灰岩や輝石安山岩が載る。妙義荒船佐久高原国定公園に属する。

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事典・日本の観光資源 「荒船山」の解説

荒船山

(群馬県甘楽郡下仁田町・南牧村・長野県佐久市)
ぐんま百名山」指定の観光名所。

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