日本大百科全書(ニッポニカ) 「萎黄病(鉄欠乏性貧血)」の意味・わかりやすい解説
萎黄病(鉄欠乏性貧血)
いおうびょう
思春期の女性にみられる鉄欠乏性貧血。特別な病的原因がなくて、黄色みの蒼白(そうはく)な顔色となり、やせて元気がなくなり、疲れやすくなる。体内に鉄分が比較的少ない女性が思春期になって、体格が急に大きくなり運動量も増加し、そのうえに生理(月経)が始まって、生理出血のために鉄分を失い漸次に貧血が進行することがおもな原因である。以前は本態性萎黄貧血とか本態性低色素性貧血とよばれていたもので、赤血球は普通に産生されるが、鉄欠乏のために、その中に含まれているヘモグロビンが減少して、ヘモグロビンの少ない小さい赤血球となる。放置すると心臓が拡大して浮腫(ふしゅ)が現れる。治療は鉄剤の内服で完全に回復する。
[伊藤健次郎]