落穴(読み)おとしあな

精選版 日本国語大辞典 「落穴」の意味・読み・例文・類語

おとし‐あな【落穴】

〘名〙
① 地面に穴を掘り、表面をそれとわからないようにしておいて、人や動物などを落として捕えるようにしかけた穴。陥穽(かんせい)。おとし。おちあな。
※平松家本平家(13C前)九「其上城中には、刃(ひし)を立、陥穴(ヲトシあな)をもして待(まち)(まゐらせ)候らん」
② 物を中に入れるために箱などにあけた穴。
※浮世草子・日本永代蔵(1688)二「金銀長持に、おとし穴(アナ)を明けて是にうち入」
③ (比喩的に) 人をだまして、不幸や不運なめにあわせようとする悪いたくらみ。策略謀略
※雑俳・江戸すずめ(1704)「あけておく戸はぬす人のおとし穴」
④ (比喩的に) それと気づかないでおちいりがちな好ましくない状態。
運命論者(1903)〈国木田独歩〉四「殆ど何人(なんぴと)にも想像することの出来ない陥穽(オトシアナ)が僕の前に出来て居て」
⑤ 紳士服のラペルなどに、実際には穴をあけず飾りとしてつけるボタン穴。眠り穴。

おち‐あな【落穴】

※玉塵抄(1563)二二「をち穴にをとし入てころされたぞ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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