日本大百科全書(ニッポニカ) 「葛城山(和泉)」の意味・わかりやすい解説
葛城山(和泉)
かつらぎさん
大阪府と和歌山県との境に連なる和泉(いずみ)山脈のほぼ中央にある一主峰。標高858メートル。金剛山地の葛城山と区別して和泉葛城山ともいう。砂岩、礫(れき)岩からなり、山頂はなだらかで、葛城山を中心に和泉山脈中央部を紀泉高原(きせんこうげん)ともよぶ。山頂北斜面の1.5ヘクタールにブナ林が広がり、分布上の貴重さにより国の天然記念物に指定されている。頂上に雨の神八大竜王を祀(まつ)る石の祠(ほこら)があり、干魃(かんばつ)時には雨乞(あまご)いの行事が行われる。付近の山地や渓谷は中世葛城修験道(しゅげんどう)の聖地で、山伏が修行した行場や経塚の遺跡がある。山頂から南方、紀ノ川方面の眺望がすばらしく、自動車も通れる登山道があり、山頂が身近になった。
[前田 昇]