蓋馬高原(読み)かいまこうげん

百科事典マイペディア 「蓋馬高原」の意味・わかりやすい解説

蓋馬高原【かいまこうげん】

朝鮮民主主義人民共和国北東部,咸鏡南・北道両江道慈江道にまたがる台地。東西150km,南北130km,面積約2万km2。主として片麻岩,花コウ岩からなり,最高点は冠帽峰(2541m),平均標高1200m。李朝時代の流刑地で,冬季寒冷のため農業発達遅れ,解放前は火田民が点在するにすぎなかったが,朝鮮戦争後総合開発に着手水力発電地下資源の開発,高原農業の近代化,牧畜林業がすすめられた。
→関連項目咸鏡南道三水慈江道清川江長津江赴戦江赴戦嶺山脈両江道狼林山脈

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改訂新版 世界大百科事典 「蓋馬高原」の意味・わかりやすい解説

蓋馬高原 (かいまこうげん)
Kaema-kowǒn

朝鮮半島北東部の溶岩台地咸鏡山脈の北側には,鴨緑江,豆満江河谷にかけて標高1000~2000mの緩傾斜地が広く分布しており,そのうち摩天嶺山脈以東を茂山高原,狼林山脈までの西部を蓋馬高原という。平均高度1200m,面積は約4万km2に達する。蓋馬高原は中央部の頭雲峰(2487m),遮日峰(2506m)などの突出部を境として東の甲山高原と西の長津高原に分かれる。高原上はモミ類などの針葉樹林帯がよく発達し,恵山,新賀坡鎮などを中心に林業が盛んである。年平均気温は2℃前後,特に冬季は0℃以下の月が5ヵ月も続く。農業には適しないがイモ類やムギ,アマなどの寒冷地農業のほかヤギなどの畜産業が行われている。高原上には鴨緑江の支流がいくつかゆるやかに流れているが,日本統治下の1920年代末以後,これらの支流に水力発電用のダムが建設されるようになった。長津湖,赴戦湖など大規模な人工湖の湖水が水路によって,落差およそ1000mの咸鏡山脈南面の急崖に落とされ,山麓で発電されるようになり,この流路変更式発電所の開発によって,日本海沿岸の清津,咸興などに化学,金属工業が発達した。水力や木材以外にも銅やマグネサイトなどの地下資源が採掘されているが,交通網が整備されておらず,輸送問題の解決が蓋馬高原開発の今後の課題となっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「蓋馬高原」の意味・わかりやすい解説

蓋馬高原
かいまこうげん / ケーマーコウオン

朝鮮北部の中央を占め、面積2万平方キロメートルに及ぶ広大な高原。地形的には赴戦嶺(ふせんれい/プチョンリョン)山脈と狼林(ろうりん/ランニム)山脈に囲まれた高位置準平原で、高原の平均高度は1200メートル。高原の南東部は豊西高原、赴戦高原、長津(ちょうしん)高原が展開し、東側は咸鏡(かんきょう)山脈が北東から南西へ走っている。高原の西限はほぼ南北方向に走る狼林山脈であり、朝鮮第一の白頭山(はくとうさん/ペクトサン)(2750メートル)から南南東に摩天嶺(まてんれい)山脈が走っている。これらの高原には、河川の侵食作用や隆起運動によって階段状の平坦(へいたん)面を形成する2000メートル級の峻峰(しゅんぽう)が多い。

 蓋馬高原の気候は、中央部の高山地帯は寒冷で、周辺部は温和な大陸性気候である。年降水量も800ミリメートル以下の少雨地帯である。蓋馬高原に源を発する虚川江、赴戦江、長津江は、流域変更式による水力発電によって朝鮮東北工業地帯の大動脈の役割を果たしている。このほか原木生産と加工業が行われ、農業は耐寒性の麦類、ジャガイモ、亜麻(あま)、ホップなどの畑作物が主である。

[魚 塘]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「蓋馬高原」の意味・わかりやすい解説

蓋馬高原
がいまこうげん

ケマ(蓋馬)高原」のページをご覧ください。

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