蔵元(江戸時代)(読み)くらもと

日本大百科全書(ニッポニカ) 「蔵元(江戸時代)」の意味・わかりやすい解説

蔵元(江戸時代)
くらもと

江戸時代の蔵屋敷においてその管理にあたった町人もしくは武士をいう。初期には武士の蔵元が多かったが、のち町人が主流となった。初期の町人蔵元は諸藩の年貢米販売委託業者的なもので、自己の責任で年貢米を販売した。大坂淀屋辰五郎(よどやたつごろう)一族などがその例である。17世紀後半以降、蔵屋敷での米販売は入札制となり、蔵元の役割は、入札仲買の選定、入札時期の決定、蔵物の保管・出納(すいとう)業務が主となった。蔵元たる町人には扶持米(ふちまい)のほか、蔵物取扱いの口銭が与えられ、また掛屋(かけや)(蔵物代銀を収納・保管する者)を兼ねる者も少なくなかった。鴻池屋善右衛門(こうのいけやぜんえもん)、加島屋久右衛門(かじまやきゅうえもん)などが有名な蔵元である。

[宮本又郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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