蕗・苳・款冬・水斗(読み)ふき

精選版 日本国語大辞典 「蕗・苳・款冬・水斗」の意味・読み・例文・類語

ふき【蕗・苳・款冬・水斗】

〘名〙 キク科の多年草。本州・四国・九州の山野に生え、食用にするため栽培されることも多く、ミズブキ・アイチブキ・アカブキなどが知られる。高さ三〇~七〇センチメートル。細い地下茎で繁殖する。茎は短く地上に出ない。葉は長柄をもち根生し灰白色の綿毛を密布する。葉身は幅一五~三〇センチメートルの円状腎臓形で縁に不規則な鋸歯(きょし)がある。雌雄異株。春、葉に先だって大形の苞葉に包まれた花茎を生じ、細かい管状花から成る球状の頭花をつける。花茎は「蕗の薹(とう)」と呼ばれ葉柄とともに食用にされる。漢名は蜂斗葉で、蕗、款冬を用いることもあるが誤用。ふふき。《季・夏》 〔名語記(1275)〕
[語誌](1)「本草和名」や「十巻本和名抄‐九」で知られるように古名はフフキ
(2)近世に入ると「多識編」のように「款冬(ヤマブキ)」を「蕗(フキ)」としたり、「東雅‐一三」のようにミヅブキ・ヤマブキ・イハブキなどの総称とする見解もみえる。そこで、ヤマブキという紛らわしい呼称に代わりツワという名も広まった。「物類称呼‐三」によれば、江戸ではツワブキと呼んだという。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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