薦被・菰冠(読み)こもかぶり

精選版 日本国語大辞典 「薦被・菰冠」の意味・読み・例文・類語

こも‐かぶり【薦被・菰冠】

〘名〙
① こもで包んだ酒樽(さかだる)。主に四斗(約七二リットル)入りの大きな酒樽をいう。
※雑俳・もみぢ笠(1702)「はんじゃうな庭にいたみの菰かぶり」
朝野新聞‐明治二六年(1893)一月一七日「総勢凡そ三千余名、菰被り二十余樽の鏡を打抜き」
② (こもを被っていたところから) 乞食
※俳諧・談林十百韻(1675)上「一犬ほゆる佐野の夕月〈正友〉 こもかふり露打はらふかけもなし〈一朝〉」
死刑囚。また、非業の死をとげて、亡骸(なきがら)にこもをかぶせられる者。
※評判記・もえくゐ(1677)「せぎゃうのにはのたけやらひ、ゆひたてらるる、こもかぶりにもならばなれと」
④ 越後国(新潟県)の新潟・沼垂羽前国(山形県)の酒田渡島国(北海道)の湯殿沢などの地方で、売春婦をいう。
※西蝦夷日記(1863‐64)二「湯殿沢(松前)の薦被(コモカフ)りは人目を忍ぶ意より取」

こもっ‐かぶり【薦被・菰冠】

〘名〙
① 「こもかぶり(薦被)①」の変化した語。
※老車夫(1898)〈内田魯庵〉「一升酒ヱ啗ったって月に灘の薦被(コモッカブ)りが僅った一本だから」
② 「こもかぶり(薦被)②」の変化した語。
※雑俳・俳諧觿‐二八(1727)「菰っかぶりに聖人の相」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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