藤原保忠(読み)ふじわらのやすただ

朝日日本歴史人物事典 「藤原保忠」の解説

藤原保忠

没年承平6.7.14(936.8.3)
生年寛平2(890)
平安中期の公卿。左大臣時平と本康親王の娘廉子の子。延喜5(905)年に昇殿が許されて以後讃岐守,右大弁などを経て中納言,延長8(930)年大納言となり,承平2(933)年右大将。八条に住んだことから八条大将と称されたが,内裏に遠いため冬は焼餅を懐中に入れて参内し(『大鏡』),「賢人大将」と呼ばれるにふさわしい逸話を残す。祖父基経より笙の秘曲「荒序」の相伝を受け,16歳のときには醍醐天皇の前で笙を吹いて絶賛され名器「橘皮」を賜った。日本の鳳笙始祖とされる。延喜21(921)年,宮中で承和年間(834~848)以来途絶えていた放鷹楽が舞われたとき,古来の装束を調進して人々を驚かせている。

(瀧浪貞子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「藤原保忠」の解説

藤原保忠 ふじわらの-やすただ

890-936 平安時代中期の公卿(くぎょう),雅楽家。
寛平(かんぴょう)2年生まれ。藤原時平の長男。母は本康(もとやす)親王の娘廉子。正三位,大納言となり,右近衛(うこんえの)大将をかねる。八条大将,賢人大将とよばれた。祖父藤原基経(もとつね)から笙(しょう)の秘曲「荒序」をつたえられ,日本の笙の始祖とされる。承平(じょうへい)6年7月14日死去。47歳。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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