藤原惟成(読み)ふじわらのこれしげ

朝日日本歴史人物事典 「藤原惟成」の解説

藤原惟成

没年永祚1(989)
生年天暦7(953)
平安中期の官人。法名は寂空(悟妙とも)。正五位上。蔵人雅材と摂津守藤原中正の娘の子。母が花山天皇乳母であったことから永観2(984)年,天皇即位と同時に蔵人に任命され,外戚藤原義懐を補して政治を推進した。しかし「内おとりの外めでた」と評された狂疾な天皇が2年後に突然,出家,退位したため義懐と共に出家した。糟糠の妻を捨て源満仲の婿になったことを恨んだ旧妻が惟成が乞食になるよう祈ったところ,現実となり,旧妻から物を施されたという話が『古事談』にある。詩や和歌をよくした。<参考文献>鮎沢寿「藤原惟成とその妻」(『史峯』3)

(朧谷寿)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「藤原惟成」の解説

藤原惟成 ふじわらの-これしげ

953-989 平安時代中期の官吏
天暦(てんりゃく)7年生まれ。藤原雅材の子。花山天皇の乳母子(めのとご)。五位蔵人(くろうど),権(ごんの)左中弁,左衛門権佐(ごんのすけ)をかねる。藤原義懐(よしちか)とともに近臣として活躍し,五位摂政と称された。寛和(かんな)2年(986)突然退位・出家した天皇の跡をおって出家。詩,和歌をよくした。永祚(えいそ)元年11月死去。37歳。法名は寂空。家集に「惟成弁集」。

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