行来・往来(読み)ゆきき

精選版 日本国語大辞典 「行来・往来」の意味・読み・例文・類語

ゆき‐き【行来・往来】

〘名〙
① (━する) 行くことと来ること。行ったり来たりすること。また、その道。往来往復。いきき。
古今(905‐914)恋四・七四〇「相坂のゆふつけどりにあらばこそきみがゆききをなくなくもみめ〈閑院〉」
② (━する) つきあうこと。交際すること。つきあい。
※隣の嫁(1908)〈伊藤左千夫〉五「隣のことであるから自然省作の家と往復(ユキキ)して」
③ 道を行ったり来たりする人。往来の人。ゆききびと。
浄瑠璃傾城反魂香(1708頃)上「実(げに)やゆききも慕ふとは疑ひもなく我等が尋る名木よ」

いったり‐きたり【行来・往来】

〘名〙
① 行くことと来ること。それが反復して繰り返されること。また、交際すること。ゆきき。去来
人情本春色梅児誉美(1832‐33)後「中の郷は私が往来(イッタリキタリ)に遠いし」
② 同じことを繰り返し思うこと。
藁草履(1902)〈島崎藤村〉一「胸の中には勝負のことが往ったり来たりするばかり」

いって‐こい【行来・往来】

〘名〙
相撲で、急に身をかわして相手をよろめかせること。いなすこと。
歌舞伎で、舞台面が回って他の舞台面に替わり、さらに再転して元の舞台面となること。
③ 取引相場で、かなりの幅の値上がり、または、値下がりをしたのに、すぐ、もとの相場に戻ってしまうこと。

ゆき‐・く【行来・往来】

〘自カ変〙 行ったり来たりする。行き帰りする。ゆききする。通行する。
万葉(8C後)一・五五「あさもよし紀人羨(とも)しも亦打山(まつちやま)行来(ゆきく)と見らむ紀人羨しも」

いき‐き【行来・往来】

〘名〙 行くことと来ること。行ったり来たりすること。往来。ゆきき。
※玉塵抄(1563)一五「おさない者貴人が小路大道にいききの人がみちふさがるほどに」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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