行田市(読み)ギョウダシ

デジタル大辞泉 「行田市」の意味・読み・例文・類語

ぎょうだ‐し〔ギヤウだ‐〕【行田市】

行田

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日本歴史地名大系 「行田市」の解説

行田市
ぎようだし

面積:六一・五五平方キロ

県の北部に位置し、東京都心から六〇キロ圏にある。東は羽生はにゆう加須かぞの両市、西は大里郡妻沼めぬま町・北埼玉郡南河原みなみかわら村・熊谷市、南は北埼玉郡川里かわさと村・鴻巣市・北足立郡吹上ふきあげ町に接し、北は利根川を隔てて群馬県邑楽おうら千代田ちよだ町に対する。西部は荒川新扇状地の末端に続き、北・中部から東部にかけては関東造盆運動によって形成された妻沼めぬま低地と加須低地が接する沖積平野からなる。標高一七―二〇メートルの平坦な水田地帯であるが、南部は関東ローム層による洪積微高地である大宮台地の北端にかかっている。市域の北境に利根川、南境外側近くに元荒川が流れ、両川の古代における乱流跡をたどって北河原きたがわら用水・ほし川・見沼代用水・旧おし川などの小河川、用・排水が、西から東へ、また北から南東へ流れて、二六〇〇ヘクタールに及ぶ水田地帯を灌漑している。こうした大河川乱流跡に沿って自然堤防が形成され、堤防上に古くから集落や交通路が開けてきた。古墳時代以降においても約一メートルに及ぶ関東造盆運動による台地の埋没がみられ、古墳・集落・条里遺構などの遺跡が地下に埋没してしまった地域も少なくないようである。

〔原始・古代〕

当市域内の原始・古代遺跡は、縄文時代一四、古墳時代一〇九が数えられるが(埼玉県遺跡地図)、弥生時代の遺跡は小敷田こしきだ遺跡が著名である。古墳時代のものは、辛亥銘鉄剣などの出土で有名になった稲荷山いなりやま古墳を含む国史跡埼玉さきたま古墳群がよく知られており、円墳一・前方後円墳八を合せて大型古墳九が現存し、ほかに多数の古墳跡がこのなかに包括されるべきものとされている。さらに同古墳群の北方には若小玉わかこだま小見おみ大稲荷おおどうか斎条さいじよう酒巻さかまきの古墳群、そのほか単独墳が存在し、西方にはふくろ下忍しもおし(現吹上町)樋上ひのうえ地区に竪穴住居跡方形周溝墓を含む遺跡があって、最近はこれら古墳の編年や「日本書紀」の記述との関連について検討されている。古代は埼玉郡に属し、「和名抄」に載る同郡埼玉郷は、埼玉古墳群のある埼玉さきたま地区を中心とする地域にあったと考えられる。東京国立博物館蔵九条家本「延喜式」裏文書である平安中期頃の武蔵国大里郡坪付に記載される坪付の北東端は、当市域にかかるものと早くから指摘されていたが、奈良・平安時代集落遺跡が該当地域の渡柳わたりやなぎ小針こばり長野ながの持田もちだその他で多数発見されつつある。また近年、小敷田遺跡で出土した飛鳥時代末期から奈良時代初期に至る多数の木簡が解読され、日本で最も古い出挙の記録が含まれていることが判明して注目された。

行田市
ぎようだし

2006年1月1日:行田市が北埼玉郡南河原村を編入
【南河原村】埼玉県:北埼玉郡
【行田市】埼玉県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「行田市」の意味・わかりやすい解説

行田〔市〕
ぎょうだ

埼玉県中北部,利根川荒川に挟まれた沖積平野にある市。 1949年忍町 (おしまち) が改称して市制。 1954年須加村,荒木村,北河原村,埼玉村の4村,1955年星宮村と太井村の一部,1957年太田村をそれぞれ編入。 2006年南河原村を編入。荒川扇状地末端の自噴泉地帯に位置し,付近の水田は条里制時代から開発された。中心市街地のは,15世紀後半に成田顕泰によって築かれた忍城の城下町として発展。江戸時代中期に武士の内職として始まった足袋の製造はやがて全国的に知られ,最盛期には全国生産の 80%を占めた。近年は需要が減少し足袋から被服や靴下などの生産に転換。 1963年頃から東部に富士見工業団地が造成され,金属,機械関係などの工場が進出。南方には全国有数の規模である埼玉古墳群があり,さきたま古墳公園として整備,国の史跡に指定されている。市の北端利根川に利根大堰がある。秩父鉄道,国道 17号線,125号線が通る。面積 67.49km2。人口 7万8617(2020)。

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