襟裳岬(読み)えりもみさき

精選版 日本国語大辞典 「襟裳岬」の意味・読み・例文・類語

えりも‐みさき【襟裳岬】

北海道中南部、日高山脈の南端が太平洋に突出するところの岬。付近には暗礁が多く、濃霧が発生する。日高山脈襟裳国定公園の一中心。

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デジタル大辞泉 「襟裳岬」の意味・読み・例文・類語

えりも‐みさき【襟裳岬】

北海道中南部、日高地方南端の岬。太平洋に面し、寒流暖流の合流地。濃霧が発生しやすい。
[補説]アイヌ語エンルム」(岬)から。

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日本歴史地名大系 「襟裳岬」の解説

襟裳岬
えりもみさき

えりも町の南端部に位置し、日高山脈が南に延びて太平洋に突き出た岬。付近は各標高が八〇―九〇メートル、四〇―六〇メートル、二〇メートル前後の三段の海岸段丘が発達、とくに岬西側(字東洋側)の海岸は四〇―六〇メートルの中位段丘がただちに海に臨んで海食崖となっている。岬突端は標高六〇メートルの断崖で、さらに沖合に向かって七キロほど岩礁が続いている。地先海域は暖流と寒流がぶつかる地点で、五月から八月にかけて海霧が発生しやすく、昔から航海の難所とされ、明治二二年(一八八九)岬西側の高さ六〇メートルの段丘上に襟裳岬灯台が設置された。一帯は風の強いところとしても有名で、年間に風速一〇メートル以上の日が二九〇日、うち一五メートル以上は二〇〇日に及ぶ。強風により一部では樹木がはうように地にへばりつき、所々に裸地もみえる。

〔近世の記録にみえる襟裳岬〕

「津軽一統志」の「松前より下狄地所付」に「ゑるも崎」とみえるのをはじめとして、近世の多くの記録類に当岬についての記述がある。襟裳(ヱリモ)の語義については、秦「地名考」に「古名ヱンルモと云。ヱンルモは尖出の名、イ出所いてとの略語なり。崎に鼠の頭に似たる岩あり。神霊の由処とて夷等是を尊崇す。鼠の名も亦ヱリモといへり」とある。「地名考并里程記」には「夷語ヱルムなり。則、鼠といふ事。此崎、岩の内に鼠の模様あるゆへ地名になすといふ」とある。板本「東蝦夷日誌」には「鼠の儀、此岬遠くより眺む時、鼠の伏たる如き故号ると也。本名ヲンネエンルンと云。ヲンネは大の大なるを云、エンルンは岬也。則極大岬也」とある。ほかにも「其形、細長し。鼠の尾のごとし。

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改訂新版 世界大百科事典 「襟裳岬」の意味・わかりやすい解説

襟裳岬 (えりもみさき)

北海道南部,日高山脈の南端部が太平洋に突出した岬。日高支庁管内えりも町に属する。付近には高度20m,40~60m,90mの3段の海岸段丘が発達しているが,先端部から西側の海岸にかけては中位段丘がただちに海に臨み,高さ40~60mの海食の断崖が続く。岩礁が6kmの沖合まで続き,寒流と暖流の合流地点のため海霧が発生しやすく,また最大風速15m以上の日が年間200日もあり,7~8月を除けば毎月30m以上の強風が記録される。60mの段丘上に1889年設置の灯台(光達距離46km)があり,霧笛信号を発する。東岸のえりも岬漁港に続く15kmの海岸は百人浜と呼ばれ,南部藩御用船が難破し,100余人がこの浜に打ちあげられたことからこの名があると伝えられ,遭難者供養のための一石一字塔がある。岬および周辺地域は1981年日高山脈襟裳国定公園に指定され,観光客が多い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「襟裳岬」の意味・わかりやすい解説

襟裳岬
えりもみさき

北海道中南部、日高(ひだか)山脈の末端が太平洋に突出した岬。日高振興局管内のえりも町にある。東側は標高90~80メートル、60~40メートル、20メートル前後の3段の海岸段丘が発達し、南西側は中位段丘が海に臨み海食崖(がい)となっている。岬突端はこの延長で断崖となり、沖合いには海食台が延びて数キロメートルの岩礁が続く。寒暖両流の合流する所で、とくに5~8月には海霧の発生が多く航海の難所とされ、1889年(明治22)に灯台が開設されて、かつてはその霧笛が観光客の旅情をそそった。岬付近は好漁場で日高昆布の産地として知られる。また、東側の低位段丘面には襟裳の漁村があり、付近には旅館やキャンプ場などの施設も多く、夏季はとくににぎわう。1981年(昭和56)日高山脈襟裳国定公園に指定され、濃霧と岬の荒波のほか、幕末の遭難悲話で知られる百人浜などが北国の印象を強める。

[柏村一郎]


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百科事典マイペディア 「襟裳岬」の意味・わかりやすい解説

襟裳岬【えりもみさき】

北海道中央部の南端の岬。日高山脈が標高60mの海食崖をなして太平洋に没する地点で,えりも町に属する。岩礁が多く,濃霧が発生しやすい航海の難所。江戸時代南部藩士100余人が遭難した百人浜や,霧笛・無線装置を備えた光達距離22カイリの灯台がある。1981年日高山脈襟裳国定公園に指定。
→関連項目えりも[町]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「襟裳岬」の意味・わかりやすい解説

襟裳岬
えりもみさき

北海道南東端にある岬。地名はアイヌ語のエンルム (とがった頭,すなわち岬の意) に由来。北海道中央部を南走する日高山脈の末端にあたり,標高約 60mの海食崖をなす。周辺は海岸段丘の発達が著しく,標高 320mに達する。古生代の岩石から成り,岩塊が櫛の歯状に海中に出没し岩礁が多い。段丘面は強風のため耕地は開けず,ほとんどが牧場や植林された森林。一部は風のため裸地。沖合いは寒流と暖流の合流点で,6~8月には濃霧が発生し,海の難所。 1889年岬突端の標高 60mの段丘上に霧信号のある灯台が設置された。日高山脈襟裳国定公園に属する。

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デジタル大辞泉プラス 「襟裳岬」の解説

襟裳岬〔曲名:森進一〕

日本のポピュラー音楽。歌は男性演歌歌手、森進一。1974年発売。作詞:岡本おさみ、作曲:吉田拓郎。第16回日本レコード大賞受賞。作曲者の吉田拓郎のセルフカバーを始め、演歌からポップスまで様々なジャンルアーティストにカバーされている。1961年に発売された島倉千代子の同名歌とは異なる。

襟裳岬〔曲名:島倉千代子〕

日本のポピュラー音楽。歌は女性演歌歌手、島倉千代子。1961年発売。作詞:丘灯至夫、作曲:遠藤実。1974年に発売された森進一の同名歌とは異なる。

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事典・日本の観光資源 「襟裳岬」の解説

襟裳岬

(北海道幌泉郡えりも町)
日本の白砂青松100選」指定の観光名所。

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