西フランク王国(読み)にしフランクおうこく

精選版 日本国語大辞典 「西フランク王国」の意味・読み・例文・類語

にしフランク‐おうこく ‥ワウコク【西フランク王国】

(フランクはFrank) 八四三年のベルダン条約、八七〇年のメルセン条約結果、三分割されたフランク王国の西半部で、のちのフランスの源をなす。王権が弱く、ノルマン人侵入、封建貴族の台頭苦しみ、九八七年王統は断絶、パリ伯ユーグ=カペーのもとでフランス封建国家が発足する。

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デジタル大辞泉 「西フランク王国」の意味・読み・例文・類語

にしフランク‐おうこく〔‐ワウコク〕【西フランク王国】

843年のベルダン条約、870年のメルセン条約を経て3分割されたフランク王国西方部分カール2世が継承したが、王権が弱く、ノルマン人の侵入、封建貴族の台頭に苦しみ、987年カロリング朝は断絶。次いで、パリ伯ユーグ=カペーカペー朝を開き、フランス封建国家が発足した。

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百科事典マイペディア 「西フランク王国」の意味・わかりやすい解説

西フランク王国【にしフランクおうこく】

843年のベルダン条約,870年のメルセン条約でフランク王国が3分してできた王国。フランスの前身カロリング朝カールシャルル)2世が最初の王。10世紀に国内諸侯が自立し,ノルマン人の侵入が加わって王権は衰え,987年王家断絶してカペー朝に代わられた。→フランク王国
→関連項目フランス

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「西フランク王国」の意味・わかりやすい解説

西フランク王国
にしふらんくおうこく

フランス王国の旧称。ベルダン条約(843)によってカロリング朝フランク王国の統一は破れ、領土は3分割されたが、カール2世(禿頭(とくとう)王、在位843~877)の西フランク王国は、さらにメルセン条約(870)によってライン川左岸の地をあわせた。その後、東フランク王カール3世(肥満王、在位876~887)は三王国を再統合し、西フランクも一時その支配下に置かれた(884~887)。しかしその失脚後、ノルマン人に対する防衛戦争の英雄ロベール・ル・フォールの子パリ伯ユードEudes, Comte de Paris(在位888~898)が諸侯に推挙されて王位についた。これに対抗して、カロリング家からはシャルル3世(愚鈍王、在位893~923)が即位し、以来、987年ルイ5世(在位986~987)の死によってカロリング朝が断絶し、ロベール家のユーグ・カペー(在位987~996)がカペー朝を興すまで、両家の紛争が続く。この過程で、西フランク王国における政治権力の分解は急速に進んだ。

[井上泰男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「西フランク王国」の意味・わかりやすい解説

西フランク王国
にしフランクおうこく
Westfrankenreich; Francia Occidentalis

フランク王国がベルダン条約 (843) により3分された結果,カルル1世 (大帝) の末孫カルル2世 (禿頭王)が継承した王国 (843~987) 。 870年メルセン条約により領土を拡大。フランク王国の西部で,現在のフランスの基である。王権が弱く,小国に分裂し,ノルマンの侵入に苦しんだ。ノルウェーのノルマン人族長ロロがセーヌ河口を荒し,855年パリを包囲したため,西フランク王カルル3世 (肥満王) は彼を 911年ノルマンディー公に封じた。 987年カロリング家の王朝が絶え,カペー朝となり,西フランク王国は形式上消滅し,フランス王国となった。

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旺文社世界史事典 三訂版 「西フランク王国」の解説

西フランク王国
にしフランクおうこく
West Frankenreich

843〜987
フランク王国の分裂によって生まれた王国の1つ
フランク王国は,カール1世の死後,ヴェルダン条約(843)・メルセン条約(870)をへて3分し,シャルル2世の継承した西半部が西フランク王国と呼ばれて,のちのフランスの起源となった。代々,カロリング朝が支配したが,王権が弱く,ヴァイキングの侵入に苦しみ,典型的な封建制度の発達がうながされた。987年カロリング朝が断絶して,パリ伯ユーグ=カペーがカペー朝を開き,フランス王に即位した。

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