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明治時代の軍人、政治家。海軍大将、元帥。薩摩(さつま)藩出身。天保(てんぽう)14年5月4日生まれ。隆盛(たかもり)の実弟で通称は信吾(しんご)。1869年(明治2)山県有朋(やまがたありとも)に随行して渡欧、近代兵制を調査研究し、日本陸海軍の創設に貢献。1873年陸軍大輔(りくぐんたいふ)、翌1874年台湾蕃地事務都督(たいわんばんちじむととく)に任じられ、政府の出兵中止訓令を拒否して征討を強行、政府を国際的難局にたたせた。1877年の西南戦争では兄隆盛につかなかった。1878年参議兼文部卿(もんぶきょう)、ついで陸軍卿に就任。1885年第一次伊藤博文(いとうひろぶみ)内閣の初代海相、1891年には第一次松方正義(まつかたまさよし)内閣の内相となったが、大津事件の際、司法権に干渉、事成らず辞任した。日清(にっしん)戦争時には海相に再任されるなど、元老の一人として藩閥政府に重きをなし、1895年には侯爵に叙せられた。明治35年7月15日病死。
[田中時彦]
東京・目黒にあった旧西郷従道住宅は国の重要文化財で、明治村に移築された。
[編集部]
(田中宏巳)
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明治時代の軍人,政治家,元老。本名は隆興,通称信吾。薩摩国鹿児島城下に生まれる。西郷隆盛の実弟。1869年(明治2)山県有朋とともに兵制研究のため渡欧(プロイセン,フランス,ロシア)し,帰国後兵部権大丞陸軍少将,兵部少輔,陸軍少輔,同大輔に進む。74年陸軍中将兼台湾蕃地事務都督に任ぜられ,政府の中止命令をおして台湾へ出兵した。76年征台の功により最初の勲一等に叙せられる。78年参議兼文部卿次いで陸軍卿に就任し,81年農商務卿,84年伯爵,そして85年内閣制の成立を機に海軍大臣となった。海軍の基礎確立のために樺山資紀,山本権兵衛,安保清康らを抜擢重用した。90年山県内閣の内務大臣,92年枢密顧問官を歴任,また同年には国民協会の会長となった。翌年伊藤博文内閣の海相に復帰して海軍の整備拡充に尽力し,94年最初の海軍大将となり,95年侯爵,98年元帥府に列せられた。同年山県内閣の内務大臣,1902年大勲位菊花大綬章に叙せられる。諧謔,機知に富み,薩長間ならびに陸海軍間の軋轢(あつれき)の調停者として,貴重な役割を果たした。
執筆者:御厨 貴
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1843.5.4~1902.7.18
正しくは「じゅうどう」。幕末期の鹿児島藩士,明治期の軍人・政治家。隆盛の実弟。寺田屋騒動・薩英戦争・禁門の変に参加,戊辰(ぼしん)戦争に出征。維新後に兵部少輔・陸軍大輔を歴任,台湾蕃地事務都督として台湾出兵を指揮した。1878年(明治11)参議となり,以後,文部・農商務・陸軍の各卿を兼務。84年参議兼海軍卿となって海軍育成に力をいれ,翌年第1次伊藤内閣の海相,第1次山県内閣では内相。92年品川弥二郎と国民協会を結成したが,翌年第2次伊藤内閣の海相となり退会。94年陸軍中将から海軍大将に昇進,98年元帥。第2次山県内閣では内相。侯爵。明治20年代以降の元老の1人。
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出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…これら栄典の制度化は日本近代化と密接不可分の関係にある。まず最初の叙勲者が台湾出兵の功労者西郷従道だったことに,近代日本のアジア進出が象徴される。次に爵位に基づく華族制度の創設は,維新期の功労者の栄誉体系への組みこみにほかならなかった。…
…西郷隆盛の弟従道を台湾蕃地事務都督に任じ,74年4月に出兵しようとしたとき,イギリス,アメリカが強く反対し,政府内でも木戸孝允ら長州派が外征反対を唱えたため,いったん征討中止を決定した。しかし,兵3600を率いて長崎に到着していた西郷従道は,政府の中止命令に応ぜず独断で出兵を実行した。大久保は全権弁理大臣となり,フランス人ボアソナードとル・ジャンドルを顧問として北京に赴き,清国と台湾問題を交渉した。…
※「西郷従道」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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