見る・観る・診る・看る(読み)みる

大辞林 第三版の解説

上一 [文] マ上一 
視覚によって、物の形・色・様子などを知覚する。 建物を正面からみる たことのない鳥がいる 不正をないふりをする みるからに強そうな男 しばらくないうちにずいぶん変わった みるも無残な最期
(「観る」とも書く)風景などを、そこへ出かけていって楽しむ。見物する。 桜をに行く
(「観る」とも書く)芝居や映画、スポーツの試合などを鑑賞する。 まだ歌舞伎をたことがない 内野席で野球をみる
文字・図などによって表されている内容を理解する。 朝刊はまだていない 心電図をみる
存在を確認する。認める。ある。「みられる」の形で用いることが多い。 まれにみる秀才 昔の農家に多くられる間取り
判断を下すために、物事の状態などを調べる。 雲をみる 相手の出方をみる 様子をみる 味をみる 湯かげんをみる
判断する。評価する。世間を甘くみる人をて法を説く
(「診る」とも書く)医者が体の様子を調べ、健康状態を判断する。診断する。患者をみる
うらなう。手相をみる
鑑定する。彼がて一休の書というのだから確かだろう
(「…からみて」などの形で)その立場に立って判断することを表す。…からいうと。私からみるとどっちもどっちだ全体としてみればよくできている
(「…にみる」の形で)ある限られた範囲を対象として結果・結論を導く。流行歌にみる世相若者にみる敬語意識
(「看る」とも書く)悪い事態にならないよう、気を配って世話をする。 買い物に行っている間、この子をていて下さい 入院中の親の面倒をみる かの御かはりに奉らむ/源氏 玉鬘
責任をもって指導・助言をする。 息子の勉強をてもらう 子会社の経理もみることになった
好ましくないことを身に受ける。経験する。 失敗の憂き目をみる 馬鹿をみる 痛い目をみる
動作・作用が実現する。 完成をみる なかなか意見の一致をない
会う。特に、異性と会う。また、男女の交わりをする。 今はきとなかけそ/源氏 帚木
夫婦として暮らす。 さやうならむ人をこそめ/源氏 桐壺
補助動詞
動詞の連用形に助詞「て(で)」を添えた形に付いて用いられる。
(意志動詞に付いて)ある動作を試みにする意を表す。ためしに…する。古語では、助詞「て」を伴わず、動詞の連用形に直接付いた形でも用いることがある。ノートに要旨を書いてみる旅行にでも行ってたくなったちょっとつまんでみる男もすなる日記といふものを、女もしてむとてするなり/土左いざ都へと来てさそひみよ/和泉式部日記
(無意志動詞にも付いて、「…てみると」「…てみれば」「…てみろ」などの形で用いられる)その運動がなされることを条件として、結果として新しい事態や認識が起こることを表す。なるほど、そう言われてみれば、本当にそうだ気がついてみると、すっかり人通りがとだえていた
名詞に助詞「で」を添えた形に付いて、「…である」の意に用いられる。
(「…でみれば」「…でみると」などの形で)「…であるので」「…だから」の意を表す。後家でみれば何もさほどの不義といふのでもあるまい/人情本・いろは文庫
(下に命令または放任の言い方を伴って)「もし…であったら」の意を表す。あれが外の者でねえ、どんなに気の毒だか知れやあしねえ/滑稽本・七偏人
[慣用] 足下あしもとを- ・ 大目に- ・ 血を- ・ 泣きを- ・ 日の目を- ・ 目八分に- ・ 余所よそに-ざまをみろ ・ それみたことか
[表記] みる見・観・診・看
「見る」は“物の形や色を目で感じる。判断する”の意。「窓の外を見る」「テレビを見る」「朝刊を見る」「湯加減を見る」「世間を甘く見る」「見ると聞くとは大違い」  「観る」は“見物する。眺める。芝居などを鑑賞する”の意。「見る」とも書く。「桜を観に行く」「芝居を観る」  「診る」は“診察する”の意。「医者に診てもらう」「患者の脈を診る」  「看る」は“気を配って世話をする”の意。「病気の親を看る」「病人を看る」

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

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