観音寺(京都府)(読み)かんのんじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「観音寺(京都府)」の意味・わかりやすい解説

観音寺(京都府)
かんのんじ

京都府京田辺(きょうたなべ)市普賢寺(ふけんじ)にある真言宗智山(ちさん)派に属する寺。奈良時代に創建された普賢寺の後身で、息長山(そくちょうざん)普賢教法寺と号し、大御堂(おおみどう)と通称される。天武(てんむ)天皇の勅願により義淵(ぎえん)が開基。ついで744年(天平16)聖武(しょうむ)天皇の御願により良弁(ろうべん)が堂宇を増築し、弟子の実忠(じっちゅう)が第1世となって法相(ほっそう)・三論(さんろん)・華厳(けごん)を兼学した。興福寺の別院として盛時は諸堂13、僧坊20の多きを数え、「筒城(つつき)の大寺」といわれたが、たび重なる火災によって堂塔を焼失した。そのつど藤原氏の外護(げご)によって再建されたが、1437年(永享9)の火災でほとんどを炎焼した。境内には五重塔礎石、関白近衛基通(このえもとみち)の墓がある。本尊の十一面観音菩薩(ぼさつ)は奈良時代の木心乾漆像で国宝に指定されている。

[大鹿実秋]

『田中真知郎・光森正士著『大和路かくれ寺かくれ仏』(1982・講談社)』


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