観音寺(滋賀県)(読み)かんのんじ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

観音寺(滋賀県)
かんのんじ

滋賀県草津市芦浦(あしうら)町にある天台宗別格本山。大慈山(だいじさん)と号する。通称は芦浦観音寺。聖徳太子の意により秦河勝(はたのかわかつ)が開いた。寺伝によると、保元(ほうげん)・平治(へいじ)の乱(1156、1159)で焼土と化して衰え、室町時代に復興されたという。また1571年(元亀2)織田信長の比叡山(ひえいざん)焼打ち後、僧詮舜(せんしゅん)は豊臣(とよとみ)秀吉の朝鮮遠征に琵琶(びわ)湖の水手(かこ)多勢を率いて出陣したり、比叡山の再興に尽力して栄えたと伝える。江戸時代には徳川家康の命により、住職は江州(ごうしゅう)代官、琵琶湖の船の総司を兼ね、山王祭(さんのうさい)には、寺の幟(のぼり)を立てた船を琵琶湖に浮かべた。外観は城門構えで、石垣上に白壁の高塀、濠(ごう)を巡らし、普通の寺の構えとは異なる。

 阿弥陀(あみだ)堂は室町時代の建築。書院はもと家康の野州永原殿舎を移築したもので、国の重要文化財に指定される。そのほか、木造阿弥陀如来(にょらい)像、地蔵菩薩(じぞうぼさつ)像、絹本着色黄不動尊像など国の重要文化財に指定されている寺宝も多い。また、1837年(天保8)開版の梵字(ぼんじ)資料である「阿叉羅帖(あしゃらちょう)」所載の願暁(がんぎょう)書卍字(まんじ)印を所蔵する。

[田村晃祐]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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