言不知(読み)いいしらず

精選版 日本国語大辞典 「言不知」の意味・読み・例文・類語

いいしら‐・ず いひしら‥【言不知】

連語〙 (動詞「いいしる(言知)」の未然形に打消の助動詞「ず」の付いたもの) 言いようもない。なんとも形容できない。善悪好悪貴賤などの両極にいう。
古今(905‐914)雑体・一〇六〇「そゑにとてとすればかかりかくすればあないひしらずあふさきるさに〈よみ人しらず〉」
源氏(1001‐14頃)末摘花「白き衣(きぬ)のいひしらず煤(すす)けたるに」

いい‐しれ・ず いひ‥【言不知】

〘連語〙 (「人しれず」などの言い方に類推して「いいしらず」の変化したものか) =いいしらず(言不知)
※名張少女(1905)〈田山花袋〉二「其旅行の物語が言ひ知れず私の好奇心を惹きますので」
※渚(1907)〈国木田独歩〉三「つくづくと眺め入れば入るほど言ひ知れぬ懐しい心持が加はって来る」

いい‐しれな・い いひ‥【言不知】

〘連語〙 (「いいしれず(言不知)」の「ず」を、「ない」に置き換えたもの) =いいしらず(言不知)
都会憂鬱(1923)〈佐藤春夫〉「彼が自分のしてゐることに気がついた時には言ひ知れない馬鹿々々しさと同時に」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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